吉永小百合、「母と暮せば」出演で反戦・非核への思い新た「語り続けていくことが大事」
2015年8月12日 17:50
[映画.com ニュース]女優の吉永小百合が主演する山田洋次監督の最新作「母と暮せば」のクランクアップ会見が8月12日、都内のホテルで行われた。長崎の原爆で亡くなった息子が3年後に亡霊となって現れ、母親と交流を深めていくファンタジー。長崎でロケを行ったほか、山田監督と吉永は今月9日の長崎での平和祈念式典にも参列した。
今月15日の終戦記念日を間近に控え、中学1年の時に満州で玉音放送を聞いた山田監督は「ものすごく暑くて、すごい汗が出る中、被爆された方、暑さやすさまじい臭気、死骸の中で肉親を探し続けた方がどれほど辛く悲しかったことか。長崎市長や被爆者代表のメッセージが非常に優れていて、その言葉を裏切ってはいけないとあらためて思った」としみじみ。その上で、「戦後70年にこの作品を作りあげられ、公開できるとことはとても意義のあること。ふさわしい作品になっていればいいなと思う」と言葉に力を込めた。
原爆詩の朗読会を続けている吉永も、「若い方たちの中には広島や長崎で何が起きたのか知らない方が増えていると聞きました。そういう年代の方にぜひ見ていただき、あの時何が起こったのか、そしてこれからどんなふうに未来に向かって歩いていけばいいのかを感じていただけたらうれしい」と神妙な面持ち。さらに、「語り続けていくことが大事で、私たちにできること。見た方それぞれの心にしっかりと残る作品になると信じています」と自らの気持ちを引き締めるように期待を寄せた。
5年ぶり5作目の山田組は、「今まで一番、監督の情熱を感じました。怖いほどで、1カット1カット心からの演出をされて、私が応えられずに落ち込んだこともありました」と苦笑交じりに述懐。そして、「そんな時に息子の軽やかな演技に助けられ、最後までやり遂げることができました」と、息子役の二宮和也を絶賛した。
その二宮は山田組初参加だったが、“母親”に対し「和也さんと呼んでいただけて、ちょっとドキドキしちゃいました。身内にも1回も呼ばれたことがないので、僕の初めての人になりました」と笑顔。加えて、「よくカズヤと間違えられるので、半ばあきらめかけていたところを、名前って大事だと思い起こさせてくれた。非常にありがたかった」と最敬礼だ。
対する吉永も、「どう呼んでいいか分からなかった時に、すっと小百合さんと呼んでもらって感激したんです。距離がグッと縮まりました」と呼応。そして、「今でもテレビでとても危険なことをしていると、ウチの息子、大丈夫かなと思ってしまいます」と明かしていた。
「母と暮せば」は、作家の故井上ひさしさんが「母と暮せば」、未完の「木の上の軍隊」に続く3部作の最終章として構想していたタイトルを、山田監督が遺志を引き継ぐ形で脚本化。終戦から3年、長崎で助産婦をしている伸子の下に、原爆で命を落とした息子・浩二が亡霊となって現れ、かけがえのない時間を過ごしていく。松竹120周年作品として、故小津安二郎監督の命日で誕生日でもある12月12日に全国で公開される。
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