大崎章監督、10年ぶり新作「お盆の弟」で再出発「この瞬間が夢のよう」
2015年7月25日 16:05
[映画.com ニュース] 「キャッチボール屋」の大崎章監督が、約10年ぶりに製作した映画「お盆の弟」が7月25日、東京・新宿K's cinemaで公開され、大崎監督をはじめ主演の渋川清彦、共演の光石研、岡田浩暉、渡辺真起子、子役の川島夕空ちゃん、脚本の足立紳が舞台挨拶に出席した。
大崎監督は、「この瞬間が夢のようです。この日のために頑張ってきたようなもんです」と感激の面持ち。「キャッチボール屋」も同館で公開初日を迎えており、「図らずも(再起に)9年かかっちゃったんですけど、再出発にふさわしいかなと思いました」と語ると、前作に続きタッグを組んだ脚本・足立は「この劇場は大好きなのでとても嬉しかったです」「再出発というのはとてもありがたく、嬉しいです」と喜びを噛みしめた。
物語は大崎監督と足立の自伝的内容となっており、足立は「9割がた監督と僕の話。楽しんでいただけるとは思いますので、どうか見てください」と呼びかける。そんな様子に、大崎監督は「2007年くらいにプロットを考えた時から、喫茶店でバカな日常の話をしていたのが、それを足立がすくってくれていい話を書いてくれた。足立のおかげです」と感謝をにじませた。
「キャッチボール屋」にも出演した光石は、オファー当時の様子を聞かれ「すごい嬉しかったですね。とうとう撮るかという感じで。ほかの現場で大崎さんとはお会いしていて、『やってくださいよ』と話していたんです」と感慨深げ。そして「今日も控室で、開口一番『監督、おめでとうございます』と言ったら、大崎監督が『すんごい嬉しいです』と言って僕の手を握ってきたので、グッと来てすぐトイレに駆け込みました」と明かしていた。
さらに渋川は、「大崎さん、どうもおめでとうございます。なんかおれ、嬉しいです」とほほ笑んだ。この日は、ほかに石井岳龍監督作「ソレダケ that's it」と、石原貴洋監督作「コントロール・オブ・バイオレンス」の舞台挨拶が控えているそうで、「全部の映画が上手い具合に盛り上がればいいなと思いますが、特に『お盆の弟』が盛り上がってほしいと思います」と話すと、会場を温かい拍手が包んでいた。
デビュー作で第16回日本映画批評家大賞新人監督賞を受賞した大崎監督と、「百円の恋」で脚光を浴びた足立が再タッグを組んだ今作。売れない映画監督のタカシと、同じく売れないシナリオライターの藤村が、もがきながらも映画製作に取り組む姿を、全編モノクロ映像で描いた。