KERA、若尾文子主演「しとやかな獣」の魅力は「団地」「会話のテンポ」
2015年7月20日 16:10

[映画.com ニュース] 女優の若尾文子が男性を誘惑する悪女を演じた映画「しとやかな獣」(1962)が7月19日、「若尾文子映画祭 青春」が開催中の東京・角川シネマ新宿で上映された。「サブカル談義」と銘打たれたトークショーが行われ、劇作家のケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)が、映画秘宝の岩田和明編集長と同作の魅力を語った。
若尾と川島雄三監督がタッグを組んだ本作は、同映画祭開催前に実施された人気投票で第1位に輝いた。KERAはその人気の根源を、「団地」「会話のテンポ」と分析。「団地を撮りたかったんだよね。団地ファンの目線で、この映画が好きだという人はいっぱいいますよね」と話し、さらに「台本を突き合わせてみるとよくわかるんだけど、ものすごい速さで会話するでしょ。これよりテンポが速いのは、(『狂った果実』の)中平康監督くらい」と説明していた。
さらにKERAは、初鑑賞の際に言及し「70年代の終わりくらいにフィルムセンターで、川島雄三特集でまとめて見た中の1本で、圧倒的に面白かった」と絶賛。ブラックユーモアが効いた物語を「僕は意地悪なものが好きだから、こういうものが日本でもできるんだという意味で、勇気をもらいましたね」と評すと、岩田氏も「『しとやかな獣』は、僕の映画は今まで“やわ”だった。これを出発点にして、こういう映画をたくさん作っていかなきゃいけないんだと、川島監督がインタビューで言っていました。でもその後に、1本か2本くらい撮って、亡くなってしまった」と明かした。
またKERAは、2009年に「しとやかな獣」を舞台化し、上演時には原作・脚本を手がけた故新藤兼人さんが来場したという。「まさか来てくださるとは思わなかったんですが、『どうでしたか』と聞いたら『エリア・カザンの演出を見ているようだ』と言われ、さっぱり意味が分からなかった(笑)」「ピノサク(小沢昭一の役名)って何ですかとか聞こうと思ったんだけど、実際会ったらありがとうございますくらいしか言えなかった」とジョーク交じりに振り返った。
現在の若尾は第一線の舞台女優として活躍しており、KERAは「三越劇場かなんかでやっていた舞台をテレビで見ました。多くは語りませんが、すごかったですよ」と最敬礼。その一方で岩田氏から「ぜひ、KERAさんの舞台にキャスティングも」と勧められると、「ガチガチになって何も話せなくなっちゃうと思いますよ(笑)」と恐縮気味に返答していた。
「若尾文子映画祭 青春」は、8月14日まで角川シネマ新宿で開催。
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