喜劇王の遺体誘拐事件を映画化 四男ユージーンが語る「チャップリンからの贈りもの」
2015年7月17日 14:30
[映画.com ニュース]1978年に起きたチャールズ・チャップリンの遺体誘拐事件を、フランスのグザビエ・ボーボワ監督が、チャップリンの遺族の全面協力を得て映画化した「チャップリンからの贈りもの」が7月18日公開する。喜劇王の名作へのオマージュが散りばめられており、いつでも弱者の味方だったチャップリンへの深い愛を感じられる作品だ。サーカス支配人役で本作に出演したチャップリンの四男ユージーン・チャップリン氏が来日し、父の思い出と撮影を振り返った。
チャップリンの遺体がスイスのレマン湖畔にある墓地に埋葬されたと知った、お調子者のエディは、入院中の妻と幼い娘を抱えてどん底の生活を送る親友オスマンを誘い、チャップリンの棺を盗んで身代金をせしめようと思いつく。しかし計画は穴だらけで、ツキにも見放された2人は窮地に追い込まれてしまう。
音楽プロデュース業のほか、スイスのサーカス団の芸術監督を務めているユージーン氏。当初はアドバイザーとして参加する予定だったが、主人公の一人に道化役の手ほどきをする支配人の役を演じることになった。
「最初のシナリオに支配人の役はありませんでしたし、監督からはサーカスを見つけて欲しいと依頼されていたので、その後自分が演じる話が持ち上がってきたのはサプライズでした。最初はためらいもありましたが、監督からシーンの説明を受け、しかもサーカスの団員は私の仲間たちですから、実際に演じるのは難しくなかったですね」
登場人物の設定などはオリジナルのであるものの、チャップリンの作品の持つ“やさしさ”が根底に流れる心温まる作品だ。「実話にユーモアを交えて描いていることが特徴です」といい、「今回の主人公のふたりは、まるでバーレスクの喜劇映画に出てくるような不器用な詐欺師のようです」と感想を語る。
撮影時のエピソードをたずねると、「本当に私の両親が暮らした村で撮影されています。1977年の時代をもう一度再現するということで、古い車や当時の警察のユニフォーム、かつて生きた時代が再構築されていくのを見るのが、とてもゆかいな体験でした」と振り返る。
偉大な映画人チャップリンの父親としての顔について聞いてみた。「とても平凡な人でした。普通の人と何も変わったところはありません」と明かし、「人生は出会いでできている部分が多いですが、私もたまたまチャップリン家の一員として生まれました。思うことは、父が生まれて130年、今なお皆さんの前でこうして父のことを話すことができるなんて、夢のようです」と笑顔を見せる。
アーティストとして、父の作品のすべてを愛していると話すが、とりわけ思い入れが強い作品は「街の灯」だ。「ロマンチックで、人類愛も盛り込まれています。音楽は初めて父が作曲した最初の作品です。時代背景として、当時トーキーが台頭し、チャップリンのキャリアの終焉を告げるような人もいました。でも、『そんなことはない、サイレント映画は終わらないんだ』という父の思いから作られた作品です。それは見事に証明され、音楽をつけることによって、サイレント映画の良さをさらに引き出しました」
ユージーン氏は、自身の性格の内気さを理由に挙げ、父親のように表舞台に立つ俳優になることは目指さなかったそう。「小さいときから、ぼくは夢が大好きなんです。クリスマスなどは、両親にロンドンのミュージカルやパントマイムに連れて行ってもらいました。悪党が出てきたらブーイング、ヒーローが出てきたら『ブラボー!』と声がかかる雰囲気、そして舞台の転換は私に夢を見させてくれるものでした。その世界に生き続けていたいという思いが続き、今の仕事(芸術監督)を選びました。家族でスイスに移住後、たまにチャップリンの映画が上映されると、父はこっそり見に行って、客席が笑うのを楽しみにしていたようです。父は映画を作ってから、観客に届くまで待つ忍耐力があるのですが、私は生の反応をすぐに聞きたい。辛抱がないんです(笑)」
「チャップリンからの贈りもの」は7月18日から全国順次公開。
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