女性監督エバ・デュバーネイ「グローリー」で“人間”キング牧師に迫る
2015年6月14日 15:45

[映画.com ニュース]マーティン・ルーサー・キング・Jr.牧師を初めて長編映画化した歴史ドラマ「グローリー 明日への行進」で、メガホンをとった女性監督エバ・デュバーネイが思いの丈を語った。
アメリカ公民権運動の最中、アラバマ州セルマで起こった血の日曜日事件を題材に、選挙権獲得に尽力したキング牧師らを描く。デュバーネイ監督は「実際に起こった出来事や、それを行った人々は、どんな創作より魅力的」だと真実を語ることに苦心した。「あの橋の上に実際に立つこと、当時の人々が立っていたその場所に立つこと、彼らが血を流し、叫び、行進し、一緒に笑い、手を握り合った場所に立つことが重要」と撮影もアラバマで敢行。「その場所のDNAや、そこに存在する精神が、撮影中に湧き上がり、この映画の中に収まってくれました」と情熱を収めることに成功した。
物語の中心となるキング牧師は、説教者としての顔に加え夫、父親などひとりの人間としての苦悩が浮き彫りにされる。デュバーネイ監督は「登場人物の物語を描くことに集中しました。なぜなら私には、キング牧師が驚異的な偉業を成したものの、人物としては普通の人に思えたから」と映し出していった。「私たちはキング牧師というと彫像を思い浮かべ、あの有名な演説や行進の指導者というイメージを抱きがちです。しかし彼は1人の人間にすぎません」と説明し、「キング牧師の神話を分析して彼の人となりを知ると、自分が少し成長した気持ちになるでしょう。彼の心の強さは、私たち全員も持っていると知るからです。その強さをうまく利用できれば、誰でも素晴らしいことを成し遂げられるのです」と持論を展開した。
主演のデビッド・オイェロウォは、熱のこもった演説で人々を魅了するカリスマ性とともに、心の内に秘めた葛藤(かっとう)や家族への思いを体現した。デュバーネイ監督は「彼から伝わってくるものは、実に真実味があるんです。彼以外の人にはできなかったと思います」と賞賛を惜しまない。「この50年間、キング牧師を主人公にした映画が公開されなかったのは理由は分かりませんが、こうやってそういう映画が作れたわけですし、主人公をデビッドが演じるのは運命だったんだと思います」。

本作は、キング牧師だけでなく、妻コレッタをはじめとした女性たちもキーパーソンとなっている。デュバーネイ監督は、女性を登場させることの重要性を「女性の存在はこの一連の運動の一助になっていたわけですからね。女性が深く関わらないような語り口ではこの物語を正確には語れませんし、実際に起こったことを十分に表すことができません」と語る。
非暴力という信念を掲げ、歩くことで世界を動かしたキング牧師。オプラ・ウィンフリー、ブラッド・ピットらとともに、キング牧師と人々の強い思いを撮りあげたデュバーネイ監督は「これは抵抗の物語を描いた映画」と話す。そして「この映画に出てくる人々、そして現実に生きた当時の人々が抵抗したのは、自分たちは劣っているという『嘘』に対してでした。1965年にアラバマ州で暮らしていた黒人であれ、2014もしくは2015年に生きているあなた方であれ、この嘘には納得できないはずです。他人より劣っている人間なんていないんですから。私たちを取り巻く壁や構造、システムなどによって他人より劣っていると思わされているだけで、実際はそんなことはありません。人々がそういった嘘に勝利する過程を描いた物語は万国共通であり、いつの時代でも、人種や宗教や性別やジェンダーの違いはあっても、見て感動するはずです。そういった嘘にだまされない自信がある人も、他人が戦って勝利する姿を見るのはいいことだと思います」とコメントを寄せた。
「グローリー 明日への行進」は、6月19日から全国で公開。
(C)2014 Pathe Productions Limited. All rights reserved.
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