昭和天皇を演じきった本木雅弘、プレッシャー吐露も原田眞人監督から太鼓判
2015年5月20日 16:50

[映画.com ニュース] 半藤一利氏の傑作ノンフィクションを映画化する「日本のいちばん長い日」の完成報告会見が5月20日、都内で行われ、主演の役所広司をはじめ共演の本木雅弘、堤真一、松坂桃李、原田眞人監督が出席した。登壇陣は一様に、力強い眼差(まなざ)しで込めた思いを語った。
昭和天皇が降伏を決定した1945年8月14日から、玉音放送で国民に終戦を知らせた翌15日までの24時間、日本のいちばん長い日にいったい何があったのか。平和の礎を築くため死を賭して戦った人々の物語に迫る。原田監督は、岡本喜八監督作「日本のいちばん長い日(1967)」や、阿部豊監督作「日本敗れず」(1954)といった先行作品と比べ、今作は昭和天皇にクローズアップした内容であることを強調した。
日本映画として初めて昭和天皇の姿や声を真正面からとらえた本作。約7年ぶりの銀幕復帰作で昭和天皇を演じた本木は、オファー当初は「逃げ出したいような気持と同時に、逃したくないという、そのふたつで揺れた」といい、「おそらく、本木のあそこは違うとお叱りを頂くのではないかと思うと、今も唇が震えてしまう」とプレッシャーを吐露。それでも、義母・樹木希林に「原田監督はとても力のある監督だし、昭和天皇を演じる機会はなかなかないから、受けるべきじゃないかしら」と背中を押された経緯を話し、原田監督からも「すごく理想的な天皇陛下になった」と太鼓判を押されていた。
役所は徹底抗戦の急先鋒・陸軍の代表でありながら、天皇の身を案じる阿南惟幾役に挑んだ。「前回の『日本のいちばん長い日』では、三船敏郎さんが阿南を演じられていて、『嫌だなあ』と思いましたね。『山本五十六』も三船さんがやっていらしたんで、また三船さんの役かとプレッシャーを感じました」と苦笑い。一方で「でも原田監督だったら、新しい阿南を作ってくれると期待していました」と全幅の信頼を寄せ、「原田監督から言われると断れないんで、喜んで演じました」と笑顔を見せた。
また原田監督は、「この作品のキーワードは、『軍をなくして国を残す』。この精神を我々は継承していかなければいけないと思います」と力強く訴求。そして「秘密保護法案やその他含めて、表現者が圧迫される時代が来つつあり、当時と似ているような姿勢が生み出されている。この時代に、やはりこういうものを送り出す意義がものすごくあると我々は実感しています」と矜持を語り、「戦後25年、50年、70年と、戦争に関する映画が作られていますが、実は戦後50年には戦争をうたうということが結構下火になっている。ここでもう一回、あの戦争と、昭和天皇がなにゆえに聖断を下さなければいけなかったかということを考えてみようという気持ちが、僕らが考えている以上に出ている作品です」と胸を張った。
またこの日は、戸田恵梨香と松山ケンイチが出演することも発表された。「日本のいちばん長い日」は、8月8日から全国で公開。
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