吉田大八監督が明かす、「紙の月」で挑んだ“賭け”
2015年4月4日 11:15

[映画.com ニュース] 角田光代氏のベストセラー小説を宮沢りえ主演で映画化した「紙の月」の吉田大八監督が、ブルーレイ&DVDリリースを前にインタビューに応じた。
前作「桐島、部活やめるってよ」(2012)で第36回日本アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀監督賞を受賞した吉田監督にとって、「紙の月」は過去最大規模での公開作となった。「誤解を恐れずに言えば、これまでの4作と違って『紙の月』は、僕が撮るような映画にふだん興味を持たない人たちにまで届かせたいという思いがありました。だから好意的な評価だけではなく、強い言葉で否定されることも含めありがたかった。こういう映画でみんなにほどほどに好かれても仕方ないので、DVDになったらさらに物議をかもしたいです」と意気込む。
バブル崩壊直後の1994年を背景に、宮沢が演じるのは年下の恋人のため顧客の金を横領してしまう銀行員の女性・梅澤梨花。物語が進むにつれてグラデーションのように変化していく宮沢の演技は抜群の存在感を放ち、第27回東京国際映画祭最優秀女優賞や第38回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞など賞レースを席巻した。
撮影は必ずしも順撮りとは限らなかったといい、「午前中に横領する悪魔のような梨花を撮り、午後すぐに前半の何気ないシーンを撮影しなければならないことも。編集後にその表情の変わりようを通して見て、改めて宮沢さんのすごさに気付きましたね」。宮沢をキャスティングしたのは、ひとつの“賭け”だったと明かす。「分かりやすい答えではなく、宮沢りえという強いエネルギーに賭けてみたい気持ちが強かった。宮沢さんにとっても梨花役にはリスクがあったはずですが、賭ける相手を選んだお互いの直感は正しかったと思います」。
監督として「賭けに出る」という気持ちを意識するようになったのは、「桐島、部活やめるってよ」に取り組んだ頃だったと振り返る。「キャスティング面だけでなく、自分から距離のある題材に向かったり、感覚的に共有できないものにあえて近付いていく。そういう時のほうが、自分でも想像つかないエネルギーが出るんじゃないかという期待があります」。一方で、「一番怖いのは“前にやったことがあるな”という飽きや、緩みみたいなものにむしばまれることです」と吐露した。
好きなシーンに、追い詰められた梨花が体を使って顧客の平林(石橋蓮司)に金を出させようとする終盤のシーンを挙げ、「この場面で見せた宮沢さんの表情が忘れられません」と述懐する。「僕は、映画は俳優を見るものだと思っています。宮沢りえさん、小林聡美さん、池松壮亮さん、大島優子さん、石橋蓮司さん。この映画で改めて俳優の力を思い知りました。俳優を信じ、俳優に賭けるというタイプの映画なので、ぜひ彼らの競演を味わってください」と、最後まで宮沢ら出演俳優たちへの称賛を惜しまなかった。
「紙の月」ブルーレイ&DVDは、5月20日発売、6月2日レンタル開始。セル版には宮沢りえ、吉田大八監督による音声コメンタリーも収録される。
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