戸田奈津子、親交深かったロビン・ウィリアムズさんに思い馳せる
2015年3月3日 12:15
[映画.com ニュース] 字幕翻訳家の戸田奈津子が3月2日、東京・新宿明治安田生命ホールで行われた「ナイト ミュージアム エジプト王の秘密」のトークイベントに出席した。同作が昨年8月に急逝したロビン・ウィリアムズさんの遺作であることから、戸田はウィリアムズさんを偲び、知られざるエピソードを明かした。
戸田は、ウィリアムズさんを「生まれもってのエンターテイナーの権化」だと称し、「『僕は人の笑いで生きている。人の笑いが僕の食べ物なんだ』というのが口ぐせだった。でも、アルコールや薬物だったり、とても起伏のある内面を持っていた。朗らかな良い方だけれど、内面に地獄があったんだろうと想像できる。あのフランシス・フォード・コッポラでさえも『僕のような普通の人間にはわかならいものがあったんだ』と書いていた」と非凡な才能を持ったウィリアムズさんの死を惜しんだ。
「いまを生きる」(1989)のプロモーション来日時にウィリアムズさんと出会ったそうで、20年以上にわたり旅行など家族ぐるみの付き合いがあり、昨年9月に親しい関係者のみで行われた「ロビンを偲ぶ会」にも参列している。「大親友のビリー・クリスタルが司会をして、ウーピー・ゴールドバーグ、モンティ・パイソンたちが出てきて、最後にスティービー・ワンダーが歌を歌った。みんな最初は笑わせるけれど、ロビンのことを思い出して感情に負けて泣いてしまう。最後は、3人の子どもたちがお父さんとの思い出を語って、会場全体が泣いていた。素晴らしい式だったわ」。遺族から式の様子をインターネットで公開しないよう要望があったそうで、「誰ひとり写真も撮らなかった。ロビンへの敬意なんです」と語った。
ウィリアムズさんとの最後の思い出は、死の1年前に行われた舞台だったという。「彼はスタンドアップコメディアンで、カーネギーやメトロポリタンには立っていたけれど、ブロードウェイはまだで、初めて立つことが決まった時だった。シリアスな反戦ドラマで主役をやるからと誘われてけいこを見に行った。それが最後だった」と述懐。そして、ウィリアムズさんの死がもたらした衝撃を「いかに大勢の人に愛されていたかということ。みんなに愛されていた人。善良なハートに、人を楽しませようという善意。善が歩いている感じだった。良い映画もたくさん残してくれた」としみじみと語った。
「 ナイト ミュージアム エジプト王の秘密」は、ベン・スティラー主演で、真夜中になると動き出す博物館の展示物が巻き起こす騒動を描いた人気シリーズ最終章。ウィリアムズさんは、シリーズを通してルーズベルト大統領を演じていた。3月20日から全国で公開。
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