10年に及ぶ大改修の舞台裏を映す「みんなのアムステルダム国立美術館へ」監督に聞く
2014年12月20日 08:00

[映画.com ニュース] レンブラントの「夜警」やフェルメールの「牛乳を注ぐ女」など数々の傑作を所蔵するオランダのアムステルダム国立美術館の改修工事を追ったドキュメンタリーの続編「みんなのアムステルダム国立美術館へ」が、12月20日から公開される。ウケ・ホーヘンダイク監督が前作からあわせて10年に及ぶ撮影を振り返った。
2008年の再オープンを予定して04年にスタートした同美術館の改修工事は、地元住民の反対などさまざまな問題によって何度も中断する。その様子をとらえた前作に続き、紆余曲折を経て13年4月のグランドオープンにこぎつけるまでの顛末を追う。
館長、キュレーター、建築家、施工会社から警備員そしてアムステルダム市民が、本音をぶつけながら開館をむかえるまでの10年を映す長期間の撮影となった。監督がモチベーションを維持できたのは美術館スタッフの存在だ。「年月を経るにつれて、映画に出てくるすべての人々との繋がりはどんどん強くなっていきました。実際、今では彼らのことを、私の人生の中の10年を一緒に過ごした仲間だと思っています。私たちは一緒に年をとってきたんです」。

自転車大国でもあるオランダ。スペイン人建築家による公道が美術館を貫く設計に対して抗議するサイクリスト団体との衝突など、公共施設建築に関わる問題点も映し出される。「オランダ美術についてではなく、どのようにオランダの民主社会が機能しているか、そしてすべての行政上の規制のせいで美術館を建てることがどんなに大変かということをこの映画で描きたいと思いました。一言でいえば、人々がプロジェクトを動かすのではなく、プロジェクトがいかに人を振りまわすようになるかということです」と本作に込めたテーマを語る。
監督にとって本作の主人公は「建物も美術品も含めて、それぞれ自身の役割を担っているすべてのもの」と力をこめる。館長の退任など、撮影期間中には予測できなかった事態もあったが、美術館のスタッフたちからの信頼を基にカメラを回し続けた。「危機が訪れるたびに撮影を続けなければという気になりました。歴史的な視点からも、私たちが撮影した素材がいかに貴重であるかは明らかです」と振り返る。
数ある展示品の中で、日本の仁王像がクローズアップされる場面がある。その理由は「金剛力士像のもつ強烈なインパクトに圧倒され、本当に美しいと思ったからです。でも私はアジア美術の学芸員メンノ・フィツキにも興味をひかれました。彼は金剛力士像に対してとても魅了され熱心で、それが私の心に響いたのです」。そして、日本の観客に向け「私の映画を楽しんで見てもらえたら嬉しいです。そして私たちオランダの文化や有名な画家たちをもっと知ってもらえることを願っています」とメッセージを寄せた。
「みんなのアムステルダム国立美術館へ」は、12月20日から渋谷・ユーロスペースほか全国順次公開。
(C)Pieter van Huijstee/Column Film
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