長編2作目のセドリック・ジメネス監督&ジル・ルルーシュ「マルセイユ・コネクション」を語る
2014年10月29日 12:45

[映画.com ニュース] 原題の「ラ・フレンチ」とは、1970年代前半に南仏と米をつなぐ麻薬取引ルート「フレンチ・コネクション」のことで、マルセイユ生まれの弱冠38歳の監督は、この実話をクライムアクションとして映画化した。その麻薬組織のボス、ザンパを演じるのは2010年に「君のいないサマーデイズ」でセザール賞助演男優賞にノミネートされた実力派ジル・ルルーシュ。本作が長編2作目とは思えない手腕を見せたセドリック・ジメネス監督とともに、初来日した2人が同作について語った。
セドリック・ジメネス監督:(以下、ジメネス):映画に登場する「ラ・フレンチ」という組織がどう機能しているかを見せるか、また、バーから金をどう脅し取ってドラッグをどう運んでいくかというシーンの構成は、シナリオを書いている段階からカメラワークを考えていました。一方、俳優が演じているところは、むしろ俳優に演技を任せて、カメラや監督はそれに適応するというかたちにしたのです。その方が自然だと思っていますし、僕のやり方はいつもそうしています。
ジメネス:人物に関しては、最初からアップというのはわりと考えていましたね。それというのも、人物に寄ったかたちで物語を語っていきたいと思ったからです。物のアップに関しては、フランスなどのヨーロッパ、アメリカはそういう文化があるように思うのです。それとともに、現在ではなく以前の時代を描いていますので、その時代の象徴的な「物」を強調したかったというのもあります。
ジメネス:いえ、オマージュではないですね。今回の映画作りのために見返すこともしませんでした。もちろん、フリードキン監督の映画はとても好きではありますが、彼の映画が直接的に関係しているわけではありません。マフィア自体がとても大きな組織ですので、それを題材として20くらいの映画を撮ることができると思います。
ジル・ルルーシュ(以下、ルルーシュ):演じるにあたっての準備として、ザンパはどんな人物だったか調べたんですね。いろんなところからの証言を集めて、それをまとめると非常に魅力的な人だったらしいですね。家族を大事にしたし、社会的に認められたいと思っていた人だったようです。ある意味、「ヤクザ/マフィア」とは違う、尊敬される人になりたかったんじゃないのかと想像したんです。だけど、結果としてマフィアになってしまった。だから分裂症的なところがある。僕としては、マフィアというより政治家みたいな人物として演じようとしました。接しやすくて、まわりに問題があったら解決してあげられる人だけれど、うまくいかなくなったら暴力的な手段を取るという。
ルルーシュ:あれは複雑なシーンでした。映画では、判事とザンパが初めて会うシーンで、また実際には、僕の友人である俳優のジャン(・デュジャルダン)と会うという大切なシーンでもあり、複雑であるがゆえにそれがうまくシーンに表れていたと思います。監督も、あのシーンは「聖なるもの」になったと言っているのですが、両方の俳優がお互いにうまくできるだろうかと思っている恐怖のようなものが距離感や異質なものを生み出して、それが面白い形になったんですね。監督は、俳優を自由にさせていると言っているけれども、必ずしもそうではなくて実はどんな構図にするかを分かってやっているのです。ですからあのシーンも、俳優ふたりがお互いどうしたらいいかという心理を、うまく利用しているのです(笑)。
ジメネス:70年代はいま流行っているので、割と手に入るんですね。20世紀の初めを舞台にしたら大変だったと思うのですけれど。ゴーモン社もいろいろなフォローをしてくれて、映画を完成させてくれるまで付き添ってくれたというのは勇気があったと思います。それに、俳優にしてもクルマにしても撮影にしても美術にしても、ゴーモンの影響がなければありえなかったと思いますし、この映画時代が存在しなかったと思いますのでただの制作会社というより母体ですね。
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