鈴木亮平×YOUNG DAIS 園子温監督作「TOKYO TRIBE」にかけた男の勝負と決意
2014年8月31日 11:05

[映画.com ニュース] 鬼才・園子温監督が、1990年代のストリートカルチャーを牽引した井上三太氏による伝説的コミック「TOKYO TRIBE2」を実写映画化すると聞き、我こそはと名乗りを上げた熱い男たち。そんな猛者たちの中から選ばれた2人の男、俳優の鈴木亮平とラッパーのYOUNG DAISは、園監督の“バトル・ラップ・ミュージカル”という前代未聞の殴り込みに全身で呼応した。“クレイジー”という言葉がぴったりな「TOKYO TRIBE」の撮影現場で、2人の男が繰り広げた“格闘”に迫った。(取材・文・写真/山崎佐保子)
近未来の“トーキョー”を舞台に、さまざまなトライブ(族)に属する若者たちが縄張りを競い合い、暴力で街を支配しようと大抗争を繰り広げる一夜を描いた群像劇。池袋を根城とする「ブクロWU-RONZ」を率いるメラ(鈴木)は、平和主義のトライブ「ムサシノSARU」の海(YOUNG DAIS)をなぜか目の敵にし、執拗に付け狙う。
鈴木は、その名を一躍世間に知らしめた「HK 変態仮面」での見事な肉体美を、さらに大きく鍛え上げてメラ役に臨んだ。「園監督にお会いする3週間くらい前に、『メラ役に体の大きい奴を探してる』と聞いたんです。ならば少しでも迫力のある体にしていこうと、限界までとにかく筋トレして鍛えまくった。役が決まってからも筋トレを続けて、最終的には3カ月で13キロくらい増やしましたね」と役者魂を見せた。撮影前に鈴木と顔合わせをしていたYOUNG DAISも、「撮影の現場で再会した時は別人だった」と驚いたという。
一方、一般オーディションで抜てきされたラッパーのYOUNG DAISは、もちろん本業のラップで勝負をかける。「『ラップでは負けない』という気持ちは、誰よりもありました。楽しいラップや戦うラップ、雰囲気の違うラップがたくさんあってやりがいもあった」とラップで周囲を圧倒した。
物語の軸となるメラと海のほかにも、新進女優・清野菜名演じる謎のヒロイン、佐藤隆太、染谷将太、でんでん、窪塚洋介ら個性派キャストがこぞって出演する本作。全てのキャラクターが“濃厚”なだけに、主役としての“存在感”も要求されたのではないか。本作中、最も“まとも”な男を演じたYOUNG DAISは、「どのシーンでもその人物にフォーカスしたらその人が主役になれるほどの濃さがある。それくらいみんながインパクトのあるキャラクターだった」と振り返る。
一方、最も“濃厚”といえるメラ役を演じた鈴木は、「主演って埋もれてもいいと思ってるんです。周りが際立つのは映画としてすごくいいことだし、『自分が目立っていかなきゃ!』ということは考えなかった」という。ただし、「ブレないように意識した。メラはインパクト勝負に見えるかもしれないけど、僕的には“芯”を通して真面目に演じたつもり」といい、「海は海だよね。ただのいい奴だけど、海がいるから周りが立つ。DAISは海の役目を100%果たしていると思った。DAISがど直球でしか向かってこないのはわかっていたので、僕もそこに直球でぶつけるつもりだったんです」と男の絆で結ばれていた。
本作を機に、園監督の最新作「新宿スワン」へも出演しているYOUNG DAIS。「僕も園監督に魅了されたひとりの男。撮影を終えて本業の音楽をやっている時、この映画の経験が活きていると感じることもある。例えばリリックをセリフっぽくすることで抑揚が生まれたり、息づかいの意識も変わったり。ヒップホップから派生した僕が、どれくらいのリミッターを担えるのか。これからも色んな世界を行ったり来たりして、貪欲に良い刺激を生んでいきたい」。
これまでさまざまな役に挑んできた鈴木も、「受けた役を100%全うしたい。特にぶっ飛んだ役をやりたいわけじゃないけど、これからもこだわらずにどんな役でもやっていきたい。そういう過程の中で、ひとつひとつの役に説得力をもたせていきたいです」。
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