吉田大八監督、韓国の奇才ホン・サンスに感服!「まるで魔法」
2014年8月19日 16:00
[映画.com ニュース] 韓国の奇才ホン・サンス監督の新作「ソニはご機嫌ななめ」「ヘウォンの恋愛日記」の公開を記念し8月18日、同監督を敬愛する「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八監督が、都内でトークイベントを行った。
第66回ロカルノ国際映画祭監督賞を受賞した「ソニはご機嫌ななめ」は、1人の女子大生を取り巻く3人の男たちが繰り広げる恋愛喜劇。第63回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門に出品された「ヘウォンの恋愛日記」は、教授との秘密の関係に悩む女子大生を描いた恋愛映画。加瀬亮を主演に迎えた最新作「自由が丘8丁目」も、第71回ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門への出品が決定している。
かねてサンス監督のファンだという吉田監督は、「すごくシンプルなのに仕掛けや企みが深い。見るごとに『こんなことがあったんだ』と気づき、サンス監督のことが怖くなる」と感服しきり。サンス監督は脚本を撮影当日の朝に書くことで有名だが、「俳優に前もって準備をさせないことで、一瞬の集中力や新鮮さを狙うのはわかる。だけど当日の朝に書いたものの積み重ねで綻(ほころ)びが一切ないなんて、まるで魔法みたい。絶対に事前にびっちり書いている(笑)! そう思わないとこちらが救われない」と本音で笑わせた。
不思議なズームやパンを多用するなど、独特なカメラワークもサンス監督の特徴だが、「普通はズームを使う時はそのものを重要に見せるために用いることが多い。でもサンス監督の場合、『何で寄ったんだろう?』というのがほとんど。とにかく凡人の考えそうなことの裏をかく。絶対に自分にはできないし、真似したら大やけどする(笑)。天才って簡単に言いたくないけど、きっと世界でもこの人だけにしかできない」と敬服していた。