河瀬直美監督、“亀爺”こと常田富士男と「2つ目の窓」舞台裏を語る
2014年8月13日 14:15
奄美大島の壮大な自然を舞台に、16歳の少年・界人(村上虹郎)と幼なじみの杏子(吉永淳)の淡い初恋と成長を通じ、命の喪失と再生を描いたヒューマンドラマ。国際映画祭常連の河瀬監督は「表現者として、人として素晴らしい常田さんを迎え、こうして皆さんとお会いできたことがうれしい。映画はスクリーンに映る表面的なものだけど、私は匂いがして肌で感じられる映画をこれからも作っていきたい」と改めて抱負を語った。
劇中、常田演じる“亀爺”こと亀次郎が、主演の2人の立ち会いのもとヤギを屠畜(とちく)するシーンがあるが、河瀬監督は「思わず目を覆いたくなるきついシーンかもしれない。奄美の島では普通のことだけど、生きているヤギをしめることはかなり緊張するもの。その時、亀爺が『そこに“いる”ことが大切』と若い2人に語りかけてくれた。あの風も光も本物で、魂が撮れた瞬間。奇跡のショットだなと思った」としみじみ。すると常田は、「葛藤(かっとう)はあった。でも言葉にすれば、殺されるヤギからしたら『どうなってんだよ、人間は』という感じだと思う。その後、ヤギ汁はしっかりいただいた」と当時の心境を吐露した。
また河瀬監督は、「亀爺に『出番のない時はどうすればいいですか?』と聞かれ、ビーチには台風などでゴミがたくさん漂着してくるので『海のゴミ拾いをしてくれますか?』と言ったら、本当に毎日ゴミを拾ってくれていた」と明かした。常田は照れ笑いを浮かべながら、「私は山の育ちなので海への思いが深い。貝殻をたくさん拾って帰ったので皆さんにもお分けしたい」と語り、会場を和ませていた。