水谷豊、別人の“右京”を演じる!「王妃の館」映画化に主演
2014年8月5日 05:00

[映画.com ニュース] 俳優の水谷豊が、浅田次郎氏の人気小説を橋本一監督(「探偵はBARにいる」シリーズ)が映画化する「王妃の館」に主演し、主人公の北白川右京に扮していることがわかった。水谷は国民的刑事ドラマ「相棒」シリーズで杉下右京を長年にわたり演じているだけに、当初は困惑した様子。しかし、「右京という名前にこだわりすぎて、敢えて名前を変えるのは原作にも失礼だと思いましたし、『相棒』と『王妃の館』は全く別の作品。この作品は、そういう小細工をしてはいけないと思って取り組みました」と役名に左右されることなく、演じ切ったことを明かしている。
原作は、倒産寸前の旅行会社が企てた荒唐無稽な仏パリ旅行に参加したツアー参加者たちが繰り広げる、笑いあり、涙あり、人情ありの上質な人間ドラマ。パリ随一の格式を誇る最高級ホテル「シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ(王妃の館)」のスイートルームを利用できるツアーを昼夜でダブルブッキングする策を練り上げた旅行会社だったが、ツアー参加者は思いのほか曲者ぞろい。なかでもひと際個性の強い売れっ子作家・北白川右京は、持ち前のマイペースぶりと独特の人柄で参加者たちを巻き込んでいく。
「いつもひとつ上を行く作家」と浅田氏に最敬礼の水谷と、大の「相棒」ファンだという浅田氏。両思いの2人が、ついに初タッグを組む。これまでに多くの作品が映画化、ドラマ化されてきたが、不思議と水谷にオファーがめぐってくることはなかった。それだけに今作への主演を運命のように感じている様子で、「浅田作品に今まで出ていなくて良かった(笑)。初めての作品がこの『王妃の館』でラッキー! と思っています」と語る。
原作の浅田氏は、右京を水谷が演じることについて「これは偶然の一致だったんです。右京という役名は、僕が原稿を書いた時には水谷豊さんが演じることを想定して書いていませんでしたから、決まった時は運命のようなものを感じました」と喜んでいる。一方の水谷も、浅田氏と初対面を果たし「実際にお会いしてみて、言い方に語弊があるかもしれませんが、作品とご本人に全く違和感がなく素敵で、がっかりしないんです。お会いして更に作品と浅田次郎さんのファンになりましたね」と思いを深めた。
撮影は、6月23日にパリでクランクイン。ルーブル美術館、セーヌ川などフランスの観光名所を映像におさめたほか、物語のベースとなるホテル「シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ」のモデルとなった「パヴィヨン・ドゥ・ラ・レーヌ」でも撮影が敢行された。パリに22泊した水谷は、「とても素晴らしかったですね。25年ぶりでしたが、かつては英語など誰も使おうとしなかったのに、今では文化や時流が変わったのか、若い方は皆進んで英語を使うんですね。そういう面でもすごく過ごしやすかったです」。さらに、「日本のスタッフとフランスのスタッフが一緒に映画をつくっている姿は、感動的でした。映画は言葉や国境を越えるということを、何度も再認識しました」と振り返った。
「王妃の館」は、2015年ゴールデンウィークに全国で公開。
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