「春を背負って」木村大作監督の“鬼の目にも涙”に松山ケンイチがジェラシー
2014年6月14日 14:58
[映画.com ニュース] 日本映画を代表するキャメラマン・木村大作の監督第2作「春を背負って」が6月14日、全国337スクリーンで初日を迎えた。木村監督は出演の松山ケンイチ、蒼井優、豊川悦司、檀ふみ、新井浩文とともに東京・有楽町のTOHOシネマズ日劇2で舞台挨拶。47都道府県を自家用車で回る精力的なキャンペーンを展開してきたが、「これまでは、あくまで試写。僕にとって初日は……、本当にありがとうございました」と涙を浮かべ、声を詰まらせた。
あまりの意外が光景に、松山は「悔しいけれど、感動した。大作さんがどういう人間か分かっているだけに、まっすぐな人の思いはまっすぐ心に刺さってくる。まっすぐにこの作品と向き合ってきたからこそ出たもので、心震えました」としてやられた様子。蒼井は、「この方についてきて良かった」と笑顔を見せた。
だが、会場に空席を見つけると「あそことあそこ、4席空いているなあ。でも、若い方が多いのはうれしいね」と本来の姿を取り戻した木村監督。これまで全国で1万5000枚の名刺を配った自負もあり、「皆さんに見ていただいた分だけ、僕の宝になる。今日は怒鳴らないと思っていたが、感動したので怒鳴ります。この映画ほどスタッフ、俳優、そして山の人たちが家族のようになった作品はない。見た人たちもその輪の中に入れる。ファミリーとして宣伝してください」と“大作節”をさく裂させた。
松山も、「緊張することはあまりないけれど、今日は緊張のあまり腹を下しました。挑戦という気持ちでやってきた作品で、新しい自分が出ているので皆さんの目にどう映るのか不安だった」と神妙な面持ち。会場から大きな拍手を受けると、「自分の居場所がテーマで、それは誰もが意識して考えていること。人間、自然の美しさが描かれているので、心に何かが届いていると思う。たくさんの人に見ていただければ、僕の宝物にもなる」と安どの表情を浮かべた。
豊川は、「本当にすごい監督。僕もそれなりに映画の世界に身を置いているが、どこまで映画を愛しているか自問自答する撮影だった」と最敬礼。だが、檀は木村監督に向かって「皆、緊張していると言っているけれど、一番緊張しているのはこの人」と指摘。「(出演の)皆さんには先があるけれど、この人にはあまりないので、敬老の精神を持って大ヒットにつなげていただきたい」と辛口のPR。これには74歳の御大も「その通りです」と頭を下げるしかなかった。
「春を背負って」は、笹本稜平氏の同名小説を映画化。奥秩父だった小説の舞台を立山連峰に置き換え、父親の急死で山小屋を継ぐ決意をした青年とそこに集う人々の思いを丹念に描いている。
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