ダーレン・アロノフスキー監督が語る「ノア 約束の舟」
2014年6月10日 13:50

[映画.com ニュース] 旧約聖書の「ノア箱舟」を原案に描くスペクタクル超大作「ノア 約束の舟」を手掛けたダーレン・アロノフスキー監督が、来日インタビューで作品に込めた思いを明かした。
「π パイ」や「レクイエム・フォー・ドリーム」で、人を狂わせていく事柄に焦点を当てたかと思えば、「レスラー」「ブラック・スワン」では人間の内面そのものに迫っていく。それはまるで、客観性と主体性を巧みに使い分けながら、世界のことわりを解明しようとする行いのようだ。
アロノフスキー監督は、「多分その解釈は合っていると思うんだが、自分で作品のことは分析しないんだ。代わりに解説書を書いてくれないか(笑)」と笑いながら、「自分で特に(そういう作品にしようと)意図はしていない。けれど結果としていつもそうなるということは、自分の根底にそうした興味があるからだろうね」と説明する。
1969年、米ニューヨークのロシア系ユダヤ人の家系に生まれ、ハーバード大学で社会人類学を専攻、映画製作も学んだ。ベネチア国際映画祭で金獅子賞受賞、そしてアカデミー賞監督賞ノミネートの経験を持つこの鬼才が、「最も古く偉大なストーリーを映画化できるなんて、これ以上のチャンスはなかった」と語る「ノア 約束の舟」で挑んだのは、聖書に記された奇跡と現代科学の論理的な融合だ。
監督は、「アメリカには、神が6日間で世界を作った『天地創造』の話を、本当に信じている人が多くいるんだ。そうした人たちは“反科学運動”に陥りがちで、それは非常に危険なこと。ものすごく古い考え方だから。僕はそうした奇跡を“詩”と捉えることで、ダーウィンの進化論などの科学と密接に描けると考えたんだ」と話す。「天地創造」の一説をナレーションに、ビッグバンによる宇宙の誕生から、地球が生まれ、46億年分の進化を一気に見せつける3分間の映像は、「ずっとやりたかった」と力を込める注目のシーンだ。
神の啓示を受け、その言葉に殉じようとするのが、ラッセル・クロウ演じるノア。だがその生きざまは、大義のためには少数を切り捨てることもいとわない冷酷さもあわせ持つ。その一方で、レイ・ウィンストン扮するカインは、悪役としてノアに対じしながら、何者にも縛られず生きることを願う、純粋な“人間らしさ”を見せる。
彼らふたりを筆頭に、ジェニファー・コネリー、アンソニー・ホプキンス、エマ・ワトソンらが熱演した多彩なキャラクター造形の秘密を、「いい悪役というのは、そのキャラクターの中にも正しい部分があることだと思うんだ。ヒーローの中にも悪い部分があると面白くなるようにね」と監督は明かす。そして、「ハリウッド映画では本当に(善なら善、悪なら悪の)一面しかないキャラクター以外を登場させるのが大変なんだけど、今回は、誰がいい人で誰が悪い人かを分かりにくく描くことができたんだ」と満足そうに語った。
「ノア 約束の舟」は、6月13日から全国公開。

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