「レインマン」B・レビンソン監督、実話題材のパニックスリラーで環境破壊に警鐘
2014年5月30日 16:00

[映画.com ニュース]名作「レインマン」のアカデミー賞監督、バリー・レビンソンが、新作「ザ・ベイ」で突然変異した寄生虫がもたらす死の恐怖をあぶり出す。米メリーランド州チェサピーク湾で実際に起こった毒性問題を下敷きに、生々しい映像で環境破壊がもたらす惨状を映し出し、現代人に警鐘を鳴らす。
チェサピーク湾に面したクラリッジ。湾の海水に高濃度の毒性があることが発覚するが、パニックや風評被害を恐れた市長は、警告を無視してしまう。そして、7月4日の独立記念日、湾に謎の寄生虫が発生し、町は地獄絵図と化す。
レビンソン監督は、幼少期から釣りをするなどチェサピーク湾に親しんできたという。しかし、「水の中にステロイドが混入していたり、カニの個体数が減っていたり。1度、隣に住む大学生がチェサピーク湾に落ちてしまい、傷跡が化膿したため緊急救命室で色々な注射を打たなければいけないことがあった」と美しかった水が汚染されていく様子を目の当たりにし、製作に踏み切った。
「チェサピーク湾はアメリカの最も大きな入り江のひとつなのだが、私が子どものころはもっとキレイで、魚やカニなども多く、素晴らしいシーフードが食べられた。それがここ数年は破壊され続けている。『ザ・ベイ』の中に出てくる科学的な情報などはすべて事実だ。水中のステロイドの量や、投げ捨てられる鶏の排泄物など、すべて調べ上げた事実しか述べていない」

これまでヒューマンドラマやコメディ作品などを手がけてきたレビンソン監督だが、「環境破壊問題を議題にした、ドキュメンタリーであると同時にエンタテインメントとして恐ろしいものをつくりたかった」とリアリティあふれる感染パニックスリラーを完成させた。
「とにかく新しいことをするのが楽しかった」というレビンソン監督は、「パラノーマル・アクティビティ」など低予算ホラーで知られるジェイソン・ブラム、オーレン・ペリを製作に迎え、これまでとは違ったモキュメンタリーに挑戦。インタビューを中心にSNSの通信記録、ファミリービデオなどさまざまな角度からとらえた映像を交えながら、日常が崩れさっていく瞬間をとらえた。さらに、現実味あふれる絵を収めるため、ワンカットでの撮影にこだわっている。
「環境破壊は、空気汚染でも水汚染でもすべて真剣な大きな問題だ」。レビンソン監督は、寄生虫が引き起こす悲劇を描いた本作で、迫り来る危険を訴える。「科学的なデータが常に問題を指摘しているにも関わらず、多くの人がこういう問題はウソだと思い込んで、目を背けている。4万キロもある地球をすべて破壊するなんてことが想像できないのだ。でも、ある科学者は『2025年にはグレート・バリア・リーフは消滅し、45年までに問題が改善されていないと海は完全に死んでしまい、海の食材が一切獲れなくなる』と言っている。この情報が100%正確かどうかはわからないが、大きな危険が迫っていることは事実だ。ひとつ驚いたことは、撮影中に5000匹もの魚の死骸が浜辺に打ち上げられてきた。映画の中でも鳥が空から落ちてくるなど、いろいろと環境破壊もたらす影響を描いたが、すべて実際にあり得ることだ」
「ザ・ベイ」は、5月31日から東京・新宿シネマカリテで公開。
関連ニュース






映画.com注目特集をチェック

35年目のラブレター
【感動実話に“とんでもない絶賛”の嵐】噂を聞きつけ実際に観てきたら…忖度なし正直レビュー!
提供:東映

ヤバい映画みつけましたよ
【いた…凄まじくクレイジーな監督が…!】壮大VFXの映画をほぼ1人で製作、撮影に7年、完成に12年…
提供:Henge

あの歌を憶えている
シングルマザーの主人公。男が家までつけてきた…しかし彼女はその男に惹かれる。男は若年性認知症だった。
提供:セテラ・インターナショナル

ドライブ・イン・マンハッタン
【今年の“個人的ベスト3入り”が確定!?】人はなぜ浮気をする? 人生観が変わる運命的な物語
提供:東京テアトル

洋画“No.1ヒット”スタート!
【新「アベンジャーズ」と関係する“大事件”!?】物語のカギは…なんと“日本”!見どころを徹底調査
提供:ディズニー

“史上最悪”の事件を全世界に生放送
【衝撃の1日を追体験】こんなショッキングな瞬間…観ていいのか? 圧倒的緊迫感の90分
提供:東和ピクチャーズ