劇場公開日 2014年5月31日

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ザ・ベイ : インタビュー

2014年5月28日更新

バリー・レビンソン監督、実話題材のパニックスリラーで環境破壊に警鐘

名作「レインマン」のアカデミー賞監督、バリー・レビンソンが、新作「ザ・ベイ」で突然変異した寄生虫がもたらす死の恐怖をあぶり出す。米メリーランド州チェサピーク湾で実際に起こった毒性問題を下敷きに、生々しい映像で環境破壊がもたらす惨状を映し出し、現代人に警鐘を鳴らす。(取材・文/編集部)

チェサピーク湾に面したクラリッジ。湾の海水に高濃度の毒性があることが発覚するが、パニックや風評被害を恐れた市長は、警告を無視してしまう。そして、7月4日の独立記念日、湾に謎の寄生虫が発生し、町は地獄絵図と化す。

レビンソン監督は、幼少期から釣りをするなどチェサピーク湾に親しんできたという。しかし、「水の中にステロイドが混入していたり、カニの個体数が減っていたり。1度、隣に住む大学生がチェサピーク湾に落ちてしまい、傷跡が化膿したため緊急救命室で色々な注射を打たなければいけないことがあった」と美しかった水が汚染されていく様子を目の当たりにし、製作に踏み切った。

「チェサピーク湾はアメリカの最も大きな入り江のひとつなのだが、私が子どものころはもっとキレイで、魚やカニなども多く、素晴らしいシーフードが食べられた。それがここ数年は破壊され続けている。『ザ・ベイ』の中に出てくる科学的な情報などはすべて事実だ。水中のステロイドの量や、投げ捨てられる鶏の排泄物など、すべて調べ上げた事実しか述べていない」

これまでヒューマンドラマやコメディ作品を手がけてきたレビンソン監督だが、「環境破壊問題を議題にした、ドキュメンタリーであると同時にエンタテインメントとして恐ろしいものをつくりたかった」とリアリティあふれる感染パニックスリラーを完成させた。

「とにかく新しいことをするのが楽しかった」というレビンソン監督は、「パラノーマル・アクティビティ」など低予算ホラーで知られるジェイソン・ブラムオーレン・ペリを製作に迎え、これまでとは違ったモキュメンタリーに挑戦。インタビューを中心にSNSの通信記録、ファミリービデオなどさまざまな角度からとらえた映像を交えながら、日常が崩れさっていく瞬間をとらえた。さらに、現実味あふれる絵を収めるため、ワンカットでの撮影にこだわっている。

「警察官が事件現場に向かうシーンは、警官が車に乗り込んで、6ブロック先の現場に辿り着くまでをすべてワンショットで撮影している。見ている人は誰もそんなことに注目しないと思うが、それは上手く撮れているからだと思う。もしカメラワークに注目が集まるとしたら、それは作品がつまらないということだ。オーソン・ウェルズの『黒い罠』などは、みんなオープニングシーンばかりに注目するが、実はそれ以外のシーンでとても複雑なカメラワークを見せている。だが、上手にさりげなく行っているため、誰も気が付かない」

「環境破壊は、空気汚染でも水汚染でもすべて真剣な大きな問題だ」。レビンソン監督は、寄生虫が引き起こす悲劇を描いた本作で、迫り来る危険を訴える。「科学的なデータが常に問題を指摘しているにも関わらず、多くの人がこういう問題はウソだと思い込んで、目を背けている。4万キロもある地球をすべて破壊するなんてことが想像できないのだ。でも、ある科学者は『2025年にはグレート・バリア・リーフは消滅し、45年までに問題が改善されていないと海は完全に死んでしまい、海の食材が一切獲れなくなる』と言っている。この情報が100%正確かどうかはわからないが、大きな危険が迫っていることは事実だ。ひとつ驚いたことは、撮影中に5000匹もの魚の死骸が浜辺に打ち上げられてきた。映画の中でも鳥が空から落ちてくるなど、いろいろと環境破壊もたらす影響を描いたが、すべて実際にあり得ることだ」

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