栗原類、母娘の愛憎描いた「ヴィオレッタ」で親子関係を分析
2014年5月10日 17:40
[映画.com ニュース]1977年に母親が幼い娘のヌードを撮影し物議をかもした写真集を題材にした仏映画「ヴィオレッタ」が5月10日、東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで封切られ、モデルで俳優の栗原類が公開記念イベントに出席。アーティストの清川あさみとともに、本作について語り合った。
イザベル・ユペール主演の本作は、仏女流写真家のイリナ・イオネスコの娘で、「エヴァ」の被写体となったエバ・イオネスコがメガホンをとり、母娘の歪んだ愛と葛藤(かっとう)を描き出す。ユペールがイリナをモデルにした母アンナ、本作で女優デビューを果たした気鋭女優のアナマリア・バルトロメイが美しい娘ヴィオレッタを演じた。
栗原は、本作を「アートとは何か、親子関係の深さ、人間とは何かを考えさせられる作品」と説明し、幼少期からモデルとして活躍してきた経験を振り返りながら「この作品は撮る側と撮られる側が他人ではなく、親子というお互いを知っている関係。母親と娘の関係性も強かったのでは」と分析。母娘の愛憎、アートの領域などのテーマに触れ、「(アンナは)娘を写しながら、自分も絵(写真)のなかにいるということを見せることで、モラルよりもエゴが大きくなったんだと思う。誰が悪いということではなく、今の人たちは共感できると思う」と語りかけた。
さらに、「(アンナは)自分が崩れる前に彼女なりの助けを求めていたのでは。自分の考えを娘に押し付けたことでケンカもあったけれど、そこでは自分の思うことをそのまま出していた。心の中では間違っていたという思いもあったのだろうし、ある意味では被害者のひとり」と熱弁。自身については「母親は普通すぎて特に面白みもありません。普通のいい親子だと思う」と話し、「母の日はノーコメントです。この記事を見たら期待しちゃうから」と笑いを誘った。
写真と刺繍(ししゅう)を融合させた「美女採集」など、女性の美を引き出してきた清川は「女性視点で、少女が最初は嫌がっていたのに、だんだん注目を集めることで女性としてエゴが目覚めていく様子、母親の欲望やエゴなど心の動きがすごく面白かった」。栗原とは、初の男性作品「男糸 danshi」でコラボレーションしており、「見た目よりも中身の美しさにひかれ、個性を感じる瞬間が1番美しいと感じる。類君は特殊で、見た目もキレイで美しい人だと思った」と述懐。栗原は、「清川さんの写真はその人の内面を引き出して、美しい部分、醜い部分、人間とは何かを表現している。清川さんにもそういう部分があるのかな」と信頼を寄せていた。
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