吉岡秀隆、今だからこそ挑んだ「トクソウ」で“正義”とは何かを問い続ける
2014年5月9日 13:40
![真実にこだわり続ける検事を熱演した吉岡秀隆](https://eiga.k-img.com/images/buzz/43586/yoshioka1_large.jpg)
[映画.com ニュース] 国内最強の捜査機関・東京地検特捜部、通称“特捜”の内部を赤裸々に描いたWOWOWの社会派ドラマ「トクソウ」。日夜権力闘争に明け暮れる特捜部内で、愚直なまでに真実にこだわり続ける検事・織田役を熱演した吉岡秀隆が、本作でしか描けなかったであろう特捜ドラマの魅力を語った。
原作は、これまで公にされることのなかった検察庁内部の知られざる実態をあぶり出した由良秀之氏による長編小説「司法記者」。政治家の汚職事件や大型経済事件を担当する特捜部内の権力闘争、司法記者クラブとのせめぎ合いなど、圧倒的なリアリティ描写で日本の司法制度の闇に迫る。
特捜といえば、陸山会事件や徳洲会事件などを彷彿(ほうふつ)とさせる非常にタイムリーなトピック。脚本を読んだ吉岡も、「生々しい話でとても面白かった。僕自身、本を通してさまざまなことを知ったし、今のうちに知っておかないと危ないんじゃないかと思うことが多かった」と題材の新鮮さに興奮を覚えた。
ドラマでも、“巨悪”を摘発するために組織が暴走を始める。平検事役の吉岡は、三浦友和演じる上司の特捜部副部長・鬼塚剛と、捜査の進め方をめぐり激しく衝突する。吉岡は、「特捜部に睨まれたら警察に逃げ込むわけにもいかないので、どこにも逃げ場がない。捜査権と起訴権、その2つを併せ持つ特捜が暴走したら全く逃げ場がないんです。正義の基準も個人の基準となる。理想的な組織でありながらとても危ない組織」とその危険性を強く意識した。演じ手としても、「身につまされるところがある。役者として演じていても、常に自問自答していないと大きなものに流されてしまう。台本があったとしても、セリフの言い方ひとつのニュアンスで全然変わってしまうので、『これで大丈夫かな』と確認する。織田じゃないけれど、謙虚にひとつひとつ事実を積み重ねることが、どの職業においても基本だなと感じました」と語った。
そんな鬼検事役の三浦とは、「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズ以来の共演となる。「時々お食事に誘ってくださって、ふだんから交流があるんです。紳士な三浦さんと『三丁目』の宅間先生のイメージ、それと『アウトレイジ』の凄味のある三浦さん、今回はどちらかというと後者に近いので、ちょっと怖いなって思いました(笑)」と言いながらも、2人がかもし出す対立の緊迫感はさすがと言わざるを得ない。
本作には“正義”というキーワードが多数登場するが、その定義は登場人物それぞれによって異なる。「人間はとても危うくて、情熱も一歩間違えると人を傷つける。織田も自分が正しいと思っているし、鬼塚も自分が正しいと思っている。正義なんて簡単に語れるものじゃないんですよね。それぞれが正義を主張する状況で、そこに謙虚さや誠実さ、相手を思いやる気持ちがなくなると、まさに暴走となる。そうして最初は“トクソウ対トクソウ”だったものが、最後は“人間対人間”になっていくんです」と、単一的に描かれがちな“正義”の多面性が骨太な人間ドラマへと昇華されていく。
地上波ではなかなか扱えない題材を独自の切り込み方でドラマ化し、視聴者をはじめ業界内からも定評を得てきたWOWOW。吉岡は、WOWOW連続ドラマW「CO 移植コーディネーター」では臓器の移植コーディネーター役を演じたが、「ドキュメンタリーとドラマのエンタテインメント性をうまく融合するその妙。WOWOWは現在進行形で起こっている題材を扱いながら、知らない職業も教えてくれる。それでいて誰にでも当てはまるドラマ性があるので、見た人の感じ方もたくさんある。演じ手としても勉強になるし、ワクワクするんです」と、幅広い解釈ができるWOWOWドラマならではの醍醐味を体現している。
連続ドラマW「トクソウ」は、5月11日から全5話で放送開始(第1話無料放送)。
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