「映画というものの純粋形を目指した」 緒方明監督の自主製作映画「友だちと歩こう」
2014年3月20日 13:30

[映画.com ニュース]「独立少年合唱団」「いつか読書する日」の緒方明監督と脚本家青木研次の9年ぶり3度目のタッグ作「友だちと歩こう」が3月22日公開する。いぶし銀のベテランバイプレイヤー上田耕一の初主演作で、高橋長英、斉藤陽一郎、松尾諭、水澤紳吾ら個性派の共演陣が脇を固める。「道を歩くこと」をテーマに、緒方監督がプロデューサーを兼ね自主製作でつくりあげた、小規模ながらも見る者の心のひだに触れるロードムービーだ。緒方監督に話を聞いた。
団地に暮らす独居老人の富男と国雄、大人になりきれない30代のトガシとモウリという2組4人の男たちが、道を歩きながら紡ぎ出す友情を4つのエピソードで描く。「俳優がいてロケ場所があれば映画はできる。そんな映画というものの純粋形を目指して、はなから低予算でやると決めて、町を撮影所に見立てて、道の上で、照明も無しで、とにかく俳優の芝居だけが前に出てくるような映画をつくりたかった。それがかなってうれしかったです」と完成までを振り返る。
教べんを取る映画学校の卒業生たちと手がける自主映画として2010年に企画し、青木に脚本を依頼。提示されたのが、脚が不自由な富男がタバコを買いに出かける本作第1話「煙草を買いに行く」だった。「幻想シーンがあったりと、青木さんの作品は文学的なにおいがするんです。今回は自主制作なので、本当に好きなこと書いてきたなと。ベースとなる登場人物の設定や履歴がない脚本だったので、解釈が自由でした。それが自主映画の醍醐味でもありますね。一番彼の資質が生に出た作品じゃないでしょうか。僕は“道を歩くこと”にこだわりたかった。そこで彼は一種の友情の話にしたんでしょうね」

自転車を使って時間をかけてロケハンし、資金集めも監督自身が行った。「映画史の中で言うと、亡くなられた若松孝二監督や今村昌平監督も近いことをやっていたわけですから、やっぱりやりたいことをやるんだったら自分で動かなくてはと。だから今回はすごく仕事しましたね(笑)。20代で自主映画作っていた頃にぐるっと帰ってきた気分で、懐かしかったですね」と述懐する。その一方で「自主映画が自分のやりたいことのはけ口になってはいけない」と考え、「前半の撮影では俳優さんにわずかな車代、スタッフに関してはノーギャラでやってもらいましたが、後半はもう少しちゃんとギャラを払おうと思って、自分もお金を出し、あとは主に友人に出資を募って、自分自身に縛りをつくったんです」と明かす。
劇中では富男と国雄の友情とともに、仕事を引退し、社会的な役割を終えたふたりの男性としての側面も描いている。映画監督には引退はないが、「森崎東監督が『ペコロスの母に会いに行く』をお撮りになって、ご自身も認知症だと認めてましたけど、森崎さんという監督の存在をスタッフもキャストも見ながら、仕事をする。そういう姿は理想ですね。少年時代から映画にたくさんのものをもらってきたので、僕も映画に人生を捧げたいです。映画を志す若者に捧げたいし、映画のために生きて生きたいですね」と結んだ。
なお、音楽はアコーディオンプレイヤーのcobaによるものだが、長年趣味で音楽活動を続けている緒方監督もレコーディングに参加し、ギターを演奏したエンディングテーマは必聴だ。「友だちと歩こう」は3月22日テアトル新宿ほか全国順次公開。
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