「新たなドパルデュー」と話題の仏新鋭俳優バンサン・マケーニュが来日
2014年2月15日 17:15
[映画.com ニュース] 仏俳優のバンサン・マケーニュが来日し、2月14日、アンスティチュ・フランセ東京で開催中の「第17回カイエ・デュ・シネマ週間」ティーチインに出席した。
「第17回カイエ・デュ・シネマ週間」では、新世代の才能あふれる若手監督、俳優にフォーカスし、クラシック作品のジャン・グレミヨン特集と合わせ短編含む全17作品を紹介。マケーニュはギョーム・ブラック監督の「女っ気なし」「遭難者」をはじめ新世代の監督の作品に出演し、昨年のカンヌ映画祭では3本以上の出演作が出品された。自らの監督作も発表しており「新たなジェラール・ドパルデュー」「新しいフランス映画の先鋭」などと評され現在フランスで注目されている俳優の一人だ。
長年演劇界で演出家を務め、俳優として映画に出ることに懐疑的だったそうだが、「女っ気なし」「遭難者」は以前から親交のあったブラック監督に頼まれての出演だった。「友人のために映画に出ることは楽しく、まるで休暇のようだった。ギョームの感覚は研ぎ澄まされているので彼の要求は高く、集中力が必要でした」と初の映画出演を振り返る。
この日上映された出演作「7月14日の娘」(アントナン・ペレジャトコ監督)は、パリに住む若者たちが海を目指して田舎に繰り出すロードムービーで、初期のジャン=リュック・ゴダール監督作などヌーベールバーグをほうふつさせる作品だ。若者の軽快な恋愛模様と同時に硬直した政治体制、経済危機や就職難など現代社会への批判がコミカルに描かれており、マケーニュは「古い美意識と現代的な主題を混ぜる才能があり、社会に対する批判も暴力的にならないようユーモアで礼儀正しく表現するのです」とペレジャトコ監督の作風を分析した。
ミア・ハンセン=ラブ監督、ルイ・ガレル監督作をはじめ数多くの新作が控えており、今後もジェラール・ドパルデュー、マチュー・アマルリックらのように、演出家、監督、俳優と演劇や映画の垣根を越えたマルチな活躍が期待されるが、「役を演じるということだけでなく、芸術的な企画に参加する意識があることが重要なのです」と俳優としてのあり方を熱を込めて語った。
「7月14日の娘」は日本語を含め13カ国語で最新のフランス映画の注目作品を紹介するインターネット上の映画祭「第4回マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル」(http://www.myfrenchfilmfestival.com/)で現在公開されている。「第17回カイエ・デュ・シネマ週間」は16日まで。
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