三宅裕司、亡き地井武男さんへ恩返し 「かぐや姫の物語」に代役出演していた
2013年12月6日 17:07

[映画.com ニュース] 11月23日に公開された高畑勲監督最新作「かぐや姫の物語」で、故地井武男さんが声優を務めたかぐや姫を育てる翁役の声の一部を、映画完成前に亡くなってしまった地井さんに代わり、三宅裕司が務めていることが明らかになった。
日本最古の物語とされる「竹取物語」を、製作期間8年、総製作費50億円を投じて描いた同作。鑑賞後の観客からは、「子どもの幸せを考え直すきっかけになった」「親と子の思いのすれ違いや、良かれと思うことが伝わらない切なさに共感した」など、子育てを経験した大人の観客からは、自身の育児経験と重ねた感想が多く寄せられているという。そんな子育ての喜びともどかしさを体現した役柄である翁が、かぐや姫に次ぐ第2の主人公として注目を集めている。
翁の声を担当したのは、2012年6月に他界した地井さん。そのあふれ出る温かみのある声が高畑監督の心をとらえ、請われて出演が決まった。作画完成前に声を吹き込むプレスコ方式によって、11年夏に地井さんによる翁のセリフを収録。しかし、映画の完成を待たずして地井さんは12年6月に他界してしまう。
13年夏、完成間近となった同作は、セリフの変更や息づかいの声の調整を行うため、あらためてアフレコが行われることになった。制作陣は過去に地井さんが出演した作品や番組から音声を抽出し組み合わせる手法を検討するもうまくいかず、そんな時、優しさを含んだ独特のかすれと高い声をもつ三宅の名前が高畑勲監督から上がった。
突然の依頼に、三宅は「地井さんが真剣に強い思いで取り組まれ、さらに映画として遺作となった作品に自分の声を重ねるなんて……」と戸惑う思いもあったという。しかし、作品の完成を見届けられなかった地井さんの無念さを思い、また当時自らも大病での入院から復帰できたことや、生前にさまざまな場面で優しい声をかけてくれた地井さんへの感謝の気持ちが重なり、オファーを引き受けた。
三宅は、一部代役ということに観客が戸惑い、地井さんの熱演に集中できなくなることを懸念し、自分の名前を一切公表しないことを望んだ。しかし、スタジオジブリから「エンドロールは見終わった人がみるもの。映画の記録として三宅さんの名は残したい」という提案と希望があり、エンドロールにだけ「三宅裕司(特別出演)」と名前を載せることになった。そして映画が公開され、エンドロールを見た観客から「どの役柄で出ていたのか?」との問い合わせが多数寄せられたことから、この情報が公開されることになった。
三宅は、夕暮れの竹やぶの中で翁がかぐや姫を必死で探すシーンの「どこへ行ってしまったんだよー。おーい、姫よー」というセリフや、姫が月へ帰ってしまい泣くシーンの息づかいなど、計6シーンを熱演。高畑監督は「誰が聞いても違和感がない。地井さんそのものだ」と大満足で、一発OKの連続。アフレコはものの10分で終了したという。
三宅は「地井さんにはずいぶんお世話になっていましたので、これで恩返しができたかなという気持ちが強いです。その気持ちが大きくて今回の件も引き受けさせていただきました」と話しており、地井さんの所属事務所からも「三宅さんのお力添えで仕事を全う出来たことに安堵し、感謝しております」と感謝のコメントが寄せられている。
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