ツァイ・ミンリャン監督、引退宣言の真意を語る「待っていてくれれば、また現れるかも」
2013年11月30日 20:40

[映画.com ニュース] 台湾の鬼才ツァイ・ミンリャン監督が11月30日、東京・有楽町で開催中の「第14回東京フィルメックス」に特別招待された最新作「ピクニック」の上映後、観客とのティーチインを行った。
第70回ベネチア国際映画祭で、本作をもって監督業引退の意向を表明したミンリャン監督。「もちろん映画は好きだし、映画を撮ることは好き。ただ映画製作は心理的に焦りを招くもの。私は黒澤明監督が高齢になるまで撮り続けたことをうらやましく思う。ただしそれは監督によって違うので、私はもう10本撮ったのでほどほどかなと思っている。もし11本目があるとしたら、それは天の神様が私に与えた宿題、もしくは宿命のようなものだと考えている」と心境を語った。
また、「30歳の時は黒澤明監督の『夢』があまり好きではなかった。だけど去年見返したら、以前の見方と一変して大好きになった。名作といわれる作品は、見る人がきちんと受け止められるまで待っているもの。これからも皆さんが待っていてくれれば、私の作品もまた現れるかもしれません」とファンへ期待を残した。
「ピクニック」は、ミンリャン監督にとって「ヴィザージュ」以来4年ぶりとなる長編映画。台湾・台北の郊外を舞台に、廃墟に暮らす貧しい父親と2人の子どもの姿を、独特の長回しを多用して描く。来年の日本公開も決定し、「私の映画はあまり売れないような映画なのでこれは珍しいこと。神秘的な力が働いていると思う」と茶目っ気たっぷりに挨拶。主演のリー・カンションについても触れ、「彼は本当に素晴らしい役者。彼がいなければ『ピクニック』は生まれなかった。この映画は他に何もない。あるのはリー・カンションだけ」と全幅の信頼を寄せていた。
進化し続けるデジタル技術について質問が及ぶと、「新しい技術が生まれる度に非常に焦りを感じる。私としてはフィルムの質感が好き。最近アン・リー監督に、『3Dというメディアはアクション映画のために発明されたのではなく、あなたのような映画のためにあるのだ』と言われた。皆さん、とても信じられないでしょうね」と冗談交じりに語った。
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