「太陽に灼かれて」3部作完結編「遥かなる勝利へ」に巨匠ミハルコフが込めた思い
2013年11月21日 17:31
[映画.com ニュース]ロシアの巨匠ニキータ・ミハルコフ監督が、カンヌ国際映画祭グランプリとアカデミー外国語映画賞をダブル受賞した「太陽に灼かれて」(1994)の3部作完結編として描く戦争映画「遥かなる勝利へ」が11月23日公開する。
「太陽に灼かれて」、第2次世界大戦独ソ戦に巻き込まれた父と娘の絆を描いた第2部「戦火のナージャ」(2010)に続き、ミハルコフが監督と主演を兼任する今作は、革命の英雄となり犠牲者となった主人公コトフ大佐が、ナチス・ドイツ軍と母国の権力に立ち向かう姿を通して、闇に包まれていたロシアの歴史と共に、戦争と革命がもたらした犠牲の大きさを伝える。コトフとその愛娘ナージャ、秘密警察のドミートリのその後の運命が明らかになる。
当初から3部作を予定していたのかというと「当時そのようなことはまったく念頭になかった」。パリでスティーブン・スピルバーグ監督の「プライベート・ライアン」を見て初めて戦争映画を撮りたいと思ったそうで、「上映後、若い人たちがこういう風に戦争に勝ったんだなと話しているのを耳にした。スピルバーグ監督は独自の視線で戦争を語るという彼のミッションを完璧にこなした。私も自分自身の観点から戦争を語ってみたかったのです」と話す。
描き方については「私はよくある『勝利』をハッピーエンドに持ってくる単純な形で戦争を描きたくなかった。私は剥奪、そしてそのプロセスを描きたかった。この映画ではロシア軍が戦下でどのような困難を強いられたかを見せています」と説明し、「私の映画はプロ・スターリンでもアンチ・スターリンでもない。これはラブストーリーです。男女間のではなく、父と娘の、しかもどちらもお互いを生きているとは知らずに愛と運命によって翻弄されるふたりの話なのです」と強調する。
ロシア史上最大の製作費をかけた3部作最終章のために、膨大なリサーチをし8年を費やした。「今作にはたくさんのメタファーと思いがけない展開があるということ。ほぼ偶然といえる形で起こっていきます。2作目の『戦火のナージャ』では破壊というメタファーを描きたく、そこで起こった出来事が、今作で答えが出る形となっています」と内容について明かしている。
「遥かなる勝利へ」は11月23日からシネスイッチ銀座、新宿シネマカリテほか全国公開。
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