「キャプテン・フィリップス」実在モデル、海上での危機管理を指南
2013年11月1日 17:08

[映画.com ニュース] 2009年にソマリア海域で起きた海賊船による貨物船人質事件を映画化した「キャプテン・フィリップス」の実在モデルであるリチャード・フィリップス氏が11月1日、神奈川・横浜で行われた中東及びアフリカ諸国で活動する日本企業や個人に向けた危機管理シンポジウムに参加し、自らの体験談を交えた講義を行った。
アフリカへの援助物資を積んだ米コンテナ船マースク・アラバマ号がソマリア沖で海賊に襲われ、乗組員の解放と引き換えに自ら拘束されたフィリップス船長が、たった1人で海賊との命がけの駆け引きを行う姿をスリリングに描き出す。「ボーン・アルティメイタム」「ユナイテッド93」のポール・グリーングラス監督がメガホンをとり、トム・ハンクスがフィリップス船長役を熱演した。
フィリップス氏は、「ハンクスに会った時、『私の方がちょっと太っているけれどハンサムだよね』と言ったよ」と冗談まじりに挨拶。人質・誘拐事件のエキスパートによる船上体感シミュレーションも行われ、フィリップス氏も「日本は比較的安全な国だけど、こうした訓練はすべての業界の人々に必要。特に船で生活をする人間にとっては最悪の事態を想定し、何をするべきかを知っておくことはとても有益だと思う」と同意していた。
身をていして乗組員の命を守ったフィリップス氏は、「船長の責任として、何よりも最優先すべきは乗組員の命を守ること、物資を守ることだった」と責務を果たした。さらに、「ソマリアだけでなく、東南アジア、アフリカ、南米など、危険な海域は世界中に存在する。海賊だけでなく、嵐、火災、乗組員の急病、あらゆる危険の可能性を認識した上で、どのように船のセキュリティを確保することができるかが大切」と語りかけた。
劇中でも海賊襲撃前の不穏な空気が微細に描かれているが、「確かに映画のような展開だったかもしれない。3月31日に船に乗り込み、オマーン沖に出たころ、何か状況が変わった気がした。信号認識やパスワードの管理など、セキュリティ面があやふやになっていたかもしれないので、何らかの形で手を打つ必要があると思っていた」と危機感を募らせていたことを告白。乗組員の安全を確保するため自ら人質となって救命艇に乗り込んだが、「チャンスが来た時に動けるように常に体力は温存していた。どんな状況でも、最後の最後まで希望を失わないことが最も重要だった」と振り返った。
「キャプテン・フィリップス」は11月29日から全国で公開。
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