ニン・イン監督「オルドス警察日記」で中国社会問題の複雑な絡み合い描く
2013年10月22日 22:30

[映画.com ニュース] 東京・六本木ヒルズで開催中の第26回東京国際映画祭コンペティション部門出品作「オルドス警察日記」の記者会見が10月22日に開催され、ニン・イン監督、主演のワン・ジンチュンが出席した。
中国の辺境・内モンゴル自治区オルドスを舞台に、若くして亡くなった実在の警察署長ハオ・ワンチョンの足跡を丹念に追った社会派ドラマ。イン監督は、「オルドス市の公安局局長を通じ、中国が抱えるさまざまな社会問題、環境問題を反映させた映画。しかし、主に焦点を当てたのはハオ・ワンチョンという人物。こうして国際映画祭に参加することもできて、中国は以前よりも開放的になっていると思う。きっと中国国内でも上映できるはず」と実感を語った。
これまでもさまざまなジャンルに挑戦してきたイン監督だが、「今回もカメラワークを含む色々なチャレンジができた。香港のウォン・カーウァイ監督のようにじっくりと対象に迫っていくカメラワークもあれば、アメリカのサスペンス映画によく見られるドラマ性をもたせるようなカメラワークも使った。現代的な映画手法を選ぶことが大事だと考え、シーンごとにかなり自由に構成を練った」と新たな試みを見せる。
ジンチュンは、実在の人物を演じるにあたり「これまでフィクションの人物を演じてきたのでとても難しかった。まずは外見と言葉の問題。できるだけ見た目も本人に近づけるように、1カ月で体重を10キロ増やし、オルドス地方独特の方言を勉強してマスターした」と徹底的に役作り。一方で、「何より一番大事なのは彼の内なる心に迫るということ。監督と一緒に色々な人を取材し、そのプロセスを通じて彼の心の中に入っていけたように感じた」と丁寧に人物像を作り上げた。
イン監督は、「中国社会が抱える問題はとても多いけれど、それらがいかに複雑に絡み合っているかということを表現したかった。現在の経済成長を維持しながら、民主的で平等な社会を築いていくことがいかに難しいか。そこに重点をおいて撮影していた」と述懐。ジンチュンも、「主人公が悪を憎み、正義に向かって突き進んでいくということが映画では強調されているけれど、彼には大きな心残りがある。未解決のまま残してしまった事件のこと、家族と時間を過ごすことができなかったこと、本当はやらなければいけなかったこと。それらが胸に迫ってきて心を動かされた。また、41歳という若い命がこの世から消えてしまったことに、人間とはどういうものかと深く考えさせられた」と真しに語った。
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