二階堂ふみ主演「ほとりの朔子」に拍手喝さい 客席から質問殺到
2013年10月19日 19:34
[映画.com ニュース]二階堂ふみの主演作「ほとりの朔子」が10月19日、第26回東京国際映画祭コンペティション部門で公式上映され、二階堂とメガホンをとった深田晃司監督、プロデューサーの杉野希妃、出演の鶴田真由、太賀、古舘寛治、小篠恵奈が、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで舞台挨拶に臨んだ。
今作は、第23回東京国際映画祭の日本映画・ある視点部門で作品賞を受賞した「歓待」の深田監督が、同作でタッグを組んだ杉野と再び相まみえて製作した青春ドラマ。深田監督は満面の笑みを浮かべ、「昨年の夏に撮影してから編集などの仕上げ作業に1年かかった。スタッフ、キャストを長く待たせてしまった」と話した。杉野も、「私はこの映画祭に育てられたといっても過言ではない。今回は大好きで魅力的な役者さんたちにオファーしましたが、素晴らしい演技を見せてくれて誇りに思っています」と感慨に浸った。
映画は、大学受験の浪人中、叔母の海希江から誘われて海と山のほとりの避暑地を訪れた朔子が、海希江の幼なじみの兎吉、その甥で福島から避難してきている同年代の孝史と出会う。朔子と孝史は何度か会ううちに次第にひかれあっていく。海と山のほとり、大人と子どものほとりで揺れ動く18歳の朔子の淡い恋心を描く。
上映後は、客席で本編を観賞した深田監督らに温かい拍手が注がれた。二階堂は、「やっぱり大きいスクリーンで見るといいなあ。私が映画を好きな理由のひとつです」とニッコリ。ティーチインに出席した深田監督、杉野、二階堂、鶴田に質問しようと、場内のいたるところから挙手するファンの姿が見られた。杉野は、「歓待」の次に今作を製作したことについて「いろいろな企画があったんです。時代劇やパリとの合作という話も。ただ、『歓待』よりも少し大きなサイズで、現代の日本映画を撮りたかったのです」と説明した。
役どころへのアプローチを聞かれた二階堂は、「私は毎回、自分のキャラクターについて考えを固めないんです。現場の空気、ほかの役者とのコミュニケーションで深めていきたいので」と明かす。今作では、「朔子は『大人の中に混ざる、大人になりかけの子ども』なので、あまりしっかりしなくていいのかなと、川に流れていくように楽しんでいた」という。深田監督も、「役者さんたちに役柄についての要望は特になかった。それは、脚本の中にこめられていますから。演出というよりも、役者さんがリラックスして演じられる環境を作るのが私の仕事」と語り、喝さいを浴びていた。
第26回東京国際映画祭は、10月25日まで開催。「ほとりの朔子」は、2014年1月に全国で公開。