第14回東京フィルメックスのラインナップが発表 審査委員長にモフセン・マフマルバフ
2013年9月26日 17:49

[映画.com ニュース] 今年で第14回を迎える「東京フィルメックス」のラインナップ発表会が9月26日、東京・飯田橋のアンスティチュ・フランセ日本で行われ、映画祭ディレクターの林加奈子氏、同プログラムディレクターの市山尚三氏、日本からコンペティション部門にノミネートを果たした「祭の馬」の松林要樹監督、「トーキョービッチ,アイラブユー」の吉田光希監督らが会見した。
林氏は、「全作がフルコースのメインディッシュ。今年も最強のプログラムが集結した。希望を探し求める映画の力と美しさがどの作品にも見られる。ここから始まる映画の未来を味わっていただきたい」と自信のラインナップを発表。ある兄弟が起こした誘拐事件を通じてイスラエル社会のさまざまな問題をあぶり出す「若さ」(トム・ショバル監督)、少女の心の成長を瑞々しく描いたグルジア映画「花咲くころ」(ナナ・エクチミシビリ監督、ジーモン・グロス監督)、学校内でのいじめを引き金に起こる事件のてん末を描いたカザフスタン映画「ハーモニー・レッスン」(エミール・バイガジン監督)、本年のカンヌ国際映画祭カメラ・ドール受賞作「ILO ILO(英題)」(アンソニー・チェン監督)ほか、10本のアジアの力作がエントリーを果たした。
東日本大震災を生き延びた1頭の馬がたどる数奇な運命に迫ったドキュメンタリー「祭の馬」の松林監督は、「答えがない映画をどうにか作ろうと思った。足りない部分は想像力で補う映画。震災映画という印象を覆すためには挑発的なカットを入れて関心を集めるしかないと思った」と熱く語った。演劇ユニット「オーストラ・マコンドー」による舞台の映画化「トーキョービッチ,アイラブユー」の吉田監督は、「たくさん刺激を受けてきた映画祭に参加できることを光栄に思う。これまでは生っぽさやリアリティを追求してきたけれど、フィクションに向かい合ってみたいという思いが芽生え、好きな戯曲をベースに映画を撮ろうと思った」と製作の経緯を明かした。
コンペティション部門の審査委員長にはイランの巨匠モフセン・マフマルバフ監督が就任し、その他の審査委員に女優の渡辺真起子、ユニフランス中国支局長のイザベル・グラシャン、映画プロデューサーの松田広子、中国の女流監督イン・リャンという多才な5名が顔をそろえた。
世界の気鋭監督の最新作を特集する特別招待作品には、バラエティに富んだ長編8本と短編2本が参加。オープニング作品にはジャ・ジャンクー監督の7年ぶりの劇映画「A Touch of Sin(英題)」、ポル・ポト政権下のカンボジアを描きカンヌ国際映画祭「ある視点」部門最優秀賞を受賞した「THE MISSING PICTURE(英題)」(リティー・パニュ監督)がクロージング作品に選ばれた。
そして昨年の木下惠介監督特集に続き、今年は松竹の映画黄金期を支えた巨匠・中村登監督の生誕100年を記念し、出世作「我が家は楽し」(1951)、国際的評価も高い「夜の片鱗」(1964)などの代表作を特集する。またアンスティチュ・フランセ日本との共催で、今年のエジンバラ国際映画祭でも大好評を博したフランスのメロドラマの名手ジャン・グレミヨン監督特集も開催される。
第14回東京フィルメックスは、有楽町朝日ホールほかにて11月23日~12月1日まで開催される。
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