死にもの狂い、勝負、財産……渡辺謙ら「許されざる者」への思い熱弁
2013年9月14日 15:20
[映画.com ニュース] 米アカデミー賞作品賞受賞の名作を日本でリメイクした「許されざる者」の公開記念舞台挨拶が9月14日、東京・有楽町の丸の内ピカデリーで行われた。主演を務める渡辺謙が「死の物狂いでやった映画」と挨拶し、共演する佐藤浩市、柳楽優弥、忽那汐里、小池栄子、メガホンをとった李相日監督も本作への強い思い入れを熱弁していた。
クリント・イーストウッド監督・主演作「許されざる者(1992)」を原作に、かつて“人斬り十兵衛”と恐れられながら刀を捨てた剣士(渡辺)が、江戸幕府崩壊後の北海道に流れつき、自らの尊厳をかけ再び立ち上がる。渡辺は「掛け値なしにすべてをさらけだした。もう吐き出すものはないほどで、今は幸福な幕が開けられて感謝しかない」と本作の封切りに感無量の面持ちだ。
宿場町で恐怖政治を敷く警察署長という難役に挑んだ佐藤は、「僕の50代後半を決めてくれる作品」と断言。小池は厳しい生活を強いられる女郎を体当たりで演じ「改めて映画の現場が好きだなと確認させていただいた。皆さんが戦友ですし、私にとっては勝負の現場だった」と確かな手応えを示した。
ひげをたくわえ、アイヌ出身の青年になりきった柳楽は「周りからは『どこに出ていたの?』と言われるほど(笑)。ハードルが高い李組に挑んだことは、間違いなく特別な経験。監督には感謝しています」と満足げだ。「大きなものと戦った現場」と語るのは、心身に深い傷を負わされる女郎を演じた忽那。「これまで経験したどの現場とも違うし、私にとって大きな財産になった」と達成感あふれる表情を見せていた。
李監督は、映画賞を席巻した「悪人」(2010)に続く監督作に本作を選んだ理由を「絶対的な根拠ではなく、衝動だった」と説明し、「その分、映画が完成し、皆さんの前に立つのは怖い気もします」と心境を吐露。10代の頃、オリジナル版を鑑賞したといい「当時は面白さというよりは、真実を訴えかけるような衝撃が強く残った。特に若い人にとって、今回の『許されざる者』が何か脳内にこびりつくものになれば」と客席にメッセージを投げかけていた。
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