真木よう子×廣木隆一監督、2つの才能が呼応した「Sidewalk Talk」
2013年8月12日 10:30
[映画.com ニュース] 女優・真木よう子と廣木隆一監督が、人気男性作家による恋愛短編小説を映像化したオムニバスラブストーリー「I LOVE YOU」の一編「Sidewalk Talk」で、ついに初タッグを果たした。“男女の別れ”という永遠のテーマに挑んだ、2つの才能の化学反応に迫る。
伊坂幸太郎氏、石田衣良氏、本多孝好氏という人気男性作家3人による恋愛アンソロジーを映像化した、ソフトバンクモバイルのスマートフォン向け総合エンタメアプリUULAオリジナルのオムニバスラブストーリー「I LOVE YOU」。本多氏原作の「Sidewalk Talk」は、離婚を目前に控えた夫婦の“最後の晩餐”を通し、互いが不器用に思いを確かめ合う姿を繊細なタッチで描き出した。
「さよなら渓谷」「そして父になる」など話題作の尽きない真木だが、意外にも廣木監督とは本作が初顔合わせ。「この作品をやりたいなと思ったきっかけは、廣木監督と一緒に仕事をしたかったというのがやっぱり一番。原作の本多さんの作品も昔から好きで読んでいましたので、もうこれしかないって。早い段階から決めていました」と念願かなっての初タッグとなった。
これまで数々の女優の魅力を引き出してきた廣木監督も、「真木さんってもっとぶっ飛んでいる人なのかなと思っていた(笑)。実際はとてもしっかりした人なので、すごく安心して見ていられた。僕は芝居について細かく言わないけれど、真木さんが僕の好きな芝居をしてくれたのですごくやりやすかった」と相性の良さをうかがわせる。
すると真木も、「何回もテイクを重ねるけれど、廣木監督は何が悪いのかは言わない。それは決していじわるではなく、役者が本当にその役になりきらなければ見えてこない感情を監督は撮りたいと思っているはず。だからこっちは役になりきって100%の思いを出す、という自分の中での作業になってくる。私はそういうのがすごく好きなので、生意気な言い方かもしれないけど、監督とはすごく相性が良いんじゃないかなと思った」とリラックスした面持ちで語った。
廣木監督といえばもちろん長回しは外せないが、本作では画面を2分割するという新しい手法も大きなスパイスとなって効いている。廣木監督は、「両方の芝居をずっと見ていたいけれど、カット割りするとどちらかしか映らない。だからもうそのままカメラを置いとけって感じで(笑)」と冗談まじりに話すが、この大胆な試みが本作の質感と見事にマッチ。真木は、「分割したことによって2人の表情がちゃんと見える。片方が話している時に、もう片方が聞いている表情。その揺れている表情がこの作品ではとても大切。自分が話している時の金井さんの表情とか、すごく良かった」と話す。
些細なひずみから大きな溝が生まれてしまった夫婦のある一晩の物語は、その“身近さ”で見る者の共感を誘う。金井勇太演じる頼りない夫にイラっとさせられる場面もあるが、真木は「明確な何かがあったらすごく分かりやすい話になっていたと思うけど、この作品の良いところは明確なものではないこと。だからこそリアリティーがあって、美しくも悲しい大人の作品になった。実は私も見て泣いちゃった。彼(夫)のナレーションがとても悲しいんですよ」と明かす。芝居やショットを“あやふやにする”ことで夫婦の関係性の不安定さを表現した廣木監督も、「ただの格差婚の話でなく、何年かかけてズレちゃった2人の話。原因は単純明確ではなく、色々な原因があってそうなったんだろうし、それは見る人が想像してくれればいい」と観客に投げかける。
UULAオリジナルドラマ「I LOVE YOU」は、伊坂幸太郎氏×戸田恵梨香主演「透明ポーラーベア」を皮切りに、石田衣良氏×多部未華子主演「魔法のボタン」、本作「Sidewalk Talk」と順次配信中。(全15話)
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