熊切和嘉監督「夏の終り」、第18回釜山国際映画祭へ!
2013年7月20日 13:40
[映画.com ニュース] 熊切和嘉監督がメガホンをとった「夏の終り」が、10月3日に開幕する第18回釜山国際映画祭の「A window on Asian cinema」部門に選出されたことがわかった。熊切監督は、「決して派手な映画ではありませんが、そこはかとなく漂う『匂い』みたいなものを味わってもらえれば、作り手としてとても嬉しく思います」と喜んでいる。
同作は、尼僧で小説家の瀬戸内寂聴氏が、出家前の瀬戸内晴美時代に発表した同名私小説が原作。満島ひかりが主人公の知子を演じ、妻子ある不遇の作家(小林薫)との関係に疲れ果て、年下の男(綾野剛)との激しい愛欲にも満たされない、自らのうちに潜む女の業に苦悩する姿を描く。
1963年に女流文学賞を受賞しており、同年には池内淳子主演、千葉泰樹監督のタッグで「みれん」として映画化されている。その後、50年にわたり愛読され続け、現在では発行部数100万部を突破している。
熊切監督は、今作について「かつての日本映画が持っていた、陰影の美しさを何とか現代によみがえらせようと、スタッフ、キャスト一丸となって作った映画です」とコメントを発表。釜山国際映画祭のディレクターを務めるキム・ジソク氏は、「単なる不倫の三角関係を描いた作品にとどまることなく、永遠に終わらない人間の“愛により生じる執着”を淡々としたタッチで描いた作品。悲劇的だが、逆説的に限りなく美しくもある映画だ」と選出理由を語っている。
「夏の終り」は、8月31日から全国で公開。