T・マリック新作に「貴婦人と一角獣」タピスリーが登場 その意味は…?

2013年7月11日 17:00

タピスリー《貴婦人と一角獣「我が唯一の望み」》、 1500年頃、フランス国立クリュニー中世美術館蔵
タピスリー《貴婦人と一角獣「我が唯一の望み」》、 1500年頃、フランス国立クリュニー中世美術館蔵

[映画.com ニュース] 8月9日公開のテレンス・マリック監督作品「トゥ・ザ・ワンダー」の本編中に現在、国立新美術館(東京都港区)で日本初公開されている「貴婦人と一角獣展」のタピスリーの映像が一部、挿入されていることがわかった。

このタピスリーは、仏国立クリュニー中世美術館所蔵の6枚からなる連作で、人間の五感の寓意を主題としたものであるという見方が確立しており、特に6枚目の「我が唯一の望み」と文字が描き込まれたタピスリーは、五感を越えた第六感、人間の“自制”や“高次の愛”、“結婚”など、その主題は多様な解釈がされている。

連作のすべての主題が恋愛であるという解釈もあり、今回、本編に挿入されているのは、「視覚」と「触覚」、そして「我が唯一の望み」の3点。中世美術史研究家でタピスリー研究の第一人者でもある、名古屋大学の木俣元一教授は、映画の中に登場するモンサンミシェルとタピスリーというフランス中世の建築と美術について、「冒頭で登場するだけであっても、オクラホマの夕暮れの空と雲、そして光の美しさと対峙する強さで、その後も全体を貫ぬく伏線として、愛という“驚異”を象徴する役割を果たしている」と分析している。

マリック監督は、「天国の日々」(1978)のあと20年間の沈黙のあと「シン・レッド・ライン」(98)を完成させているが、この沈黙の20年の間、一時期、フランスの大学で哲学の教鞭をとっていたと噂される。この頃、フランス女性と恋に落ち、1985年に結婚。マリックと妻はアメリカに戻るが、88年には離婚し、幼なじみとよりを戻したといわれている。このフランス人女性が2008年に癌で死去し、「トゥ・ザ・ワンダー」が誕生したきっかけではないかと憶測されている。

独特の製作スタイルを貫き通しながら、公の場にでることを嫌い、マスコミの取材も受けないという姿勢で、その言動が神秘のベールに包まれているのにも関わらず、世界中の映画人に愛されているマリック監督。今回は、‘愛’をテーマに美しく壮大な映像で独特の世界感を完成させた。監督自身の恋愛感がぎっしりつまった本作に出てくるタピスリーは、何を意味し、何を訴えかけるのだろうか。

劇中でフランス人女性・マリーナを演じるのは、「オブリビオン」のオルガ・キュリレンコ。アメリカ人女性・ジェーンをレイチェル・マクアダムス、2人の女性の間で揺れるニールをベン・アフレックが演じている。

トゥ・ザ・ワンダー」は8月9日、TOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館ほか全国で公開。「貴婦人と一角獣展」東京展は7月15日まで、大阪展(国立国際美術館)は7月20日から10月20日まで。

(映画.com速報)

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  • タピスリー《貴婦人と一角獣「我が唯一の望み」》、1500年頃、フランス国立クリュニー中世美術館蔵
  • タピスリー《貴婦人と一角獣「触覚」》、1500年頃、フランス国立クリュニー中世美術館蔵
  • タピスリー《貴婦人と一角獣「視覚」》、1500年頃、フランス国立クリュニー中世美術館蔵

(C) RMN-Grand Palais / Franck Raux / Michel Urtado / distributed by AMF–DNPartcom

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