本広克行監督が明かす「踊る大捜査線 THE FINAL」への思い
2013年4月25日 16:20
[映画.com ニュース] 1997年にスタートしたテレビドラマを皮切りに、スピンオフ作品も含めると全6作の劇場版が製作され、累計興収487.6億円という国民的大ヒットを記録した「踊る大捜査線」シリーズ。最終作「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」のブルーレイ&DVD化にあたり、メガホンをとり続けてきた本広克行監督が語った。
「実は、ネットで盛り上がるのは、何度も見られる環境が整うこれからなんです」と本広監督は笑う。「パッケージメディア向けに、細かくディテールを作り込んであるので」と自信のほどをうかがわせるが、現在は公開が終了して感傷に浸る間もなく「第2の公開直前の心境」なのだ。「(同業者の)クリエイターは、なかなか映画館で見られませんから。今からも勝負なんです」と力を込める。
15年のシリーズを締めくくる最終作として、警察内部による犯罪とそれを隠ぺいしようとする組織の体質に迫る「これまでにない、大人向けの社会派テーマを込めた」と語る本広監督だが、実は、前作の「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」で、7年ぶりに劇場版シリーズを再開する方が苦しかったという。
「7年って長いですよね。キャラクターも老いていくし、今さら若者ぶったセリフをしゃべらせるのも酷ですし。でも当時、実際に“湾岸署(東京湾岸警察署)”ができたんです。『踊る』は、作品で描いたことが少し後になってから現実になるんですね。1作目の後に2ちゃんねる、2作目の後には監視カメラが至るところに設置されるようになったりして。その湾岸署の存在が大きな後押しになりましたね」
第3作は本広監督、亀山千広プロデューサー、脚本家の君塚良一の「今度は青島俊作のスピンオフを作ろう」という思いで製作がスタート、そして「THE FINAL」でシリーズを終わらせる構想へと結実する。製作の準備段階では東日本大震災を経験し、「エンタテインメントとして、どこまで作品に反映させるのか」でも悩んだという。それだけに思い入れは深く、「すみれさんを青島が抱きしめるシーン、青島が刑事としての思いを語るシーンなど、終盤の一連のシーンはこだわってやり抜きましたね……」と振り返る。
そして、シリーズとして初めて“犯人の裏側のドラマ”を描いた同作に、「やりきっただけに、もう後はないと思いますね」と続ける。「踊る大捜査線」といえば、“人気ドラマの映画化”というヒットの方程式を作った元祖ともいえる存在だ。その称号に本広監督は、「(数々の問題を)乗り越えていったのは亀山プロデューサー。自分は、与えられたものを必死になって作ってきただけです。ただ、色々言われるけど、97年、98年頃の日本映画界は本当に食えませんでしたから。映画館にお客さんが増えたんだから、それだけでもよかったと思うんですよね」と締めくくった。
「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」ブルーレイ&DVDは、4月26日発売(レンタルも同日より開始)。
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