奇跡のシンデレラガール、クワベンジャネ・ウォレスちゃんの素顔に迫る
2013年4月19日 16:30
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[映画.com ニュース] ある無名新人監督とひとりの少女による1本のインディペンデント映画が、米映画界に旋風を巻き起こした。「ハッシュパピー バスタブ島の少女」はインディペンデント映画の祭典といわれるサンダンス映画祭でグランプリに輝き、カンヌ映画祭でも新人賞にあたるカメラドールほか4冠を獲得、本年度の第85回アカデミー賞では主要4部門でノミネートを果たすという快挙を成し遂げたのだ。特筆すべきは、演技の領域を超えた鮮烈な存在感で、史上最年少のオスカー主演女優賞ノミネートを果たしたクワベンジャネ・ウォレスちゃん。プロモーションのため来日し、第5回沖縄国際映画祭に参加したウォレスちゃんが、奇跡のデビュー作について語った。(取材・文・写真/山崎佐保子)
米ルイジアナ州南部の河川近くに、世間から隔絶された「バスタブ」と呼ばれる小さなコミュニティーがあった。そこで暮らす6歳の少女ハッシュパピーは、荒くれ者の父親ウィンク、さまざまな動物たちと自由気ままに生活していた。しかし、100年の1度の大嵐によってバスタブは崩壊。さらに、ハッシュパピーは重病にかかったウィンクの余命が残りわずかだと知らされ、消息不明の母親がいると信じている遠くの海へと冒険に出る。
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物語の鍵を握る主人公ハッシュパピー役に、1年以上、のべ4000人のオーディションを経てウォレスちゃんが見出された。つまり、ウォレスちゃんは4000人もの中から選ばれたシンデレラガールというわけだが、「単純に楽しそうかなと思ってオーディションを受けてみたの。もともと女優になりたかったわけじゃないけどね」とあっけらかん。「4000人もいたなんて、Q&Aの時に初めて聞いてビックリ。でも、それまでずっとやってきたことだったし、そんな驚くこともなかったわ」と余裕の表情だ。アカデミー賞授賞式でも、「そんなに緊張しなかったよ。ノミネートされたことも驚いたけど、最年少と言うのも我ながらビックリ」と堂々とレッドカーペットを練り歩いたが、「長いセレモニーだからたくさんキャンディーをもらったの。ジェリービーンズとかハーシーズのチョコレートとかね!」とお菓子に我を忘れる子どもらしい一面も。今ではバラク・オバマ大統領やビヨンセからも賛美を浴びる存在だが、「こんなに注目されて大騒ぎになるとは思っていなかったから、ちょっと変な感じ。今まで経験したことないし。サンダンス、カンヌ、ついに沖縄まで来ちゃったんだもん」と明かした。
シンプルなファンタジーかと思いきや、大人の観客層にも深い味わいを残す独特な物語。脚本を読んだ時は、「6歳だからちょっと難しかった。でもストーリーは気に入ったの。脚本の描写はもうちょっと細かかったような気もするけど、できあがった作品を見た今も印象はほとんど変わらない」と、自分なりの解釈と思い入れを注ぎ、ハッシュパピー役を熱演。生命力あふれる野生児との共通点も、「素晴らしいお父さんがいて、自然が大好き。それに色々なことに果敢に挑戦するのが好きなところ」としっかり認識しながら役柄をつかんでいた。
そんなウォレスちゃんの素顔は、「朝ご飯を食べて、学校に行って、授業を受けて、一生懸命勉強しているよ」という、今どきの多感ではつらつとした女の子。好きな映画は「ドリームワークス、ピクサー、ディズニーの映画!」だそうで、もっぱらアニメーション映画に夢中の様子。本作で女優として華々しくデビューしたが、将来の夢は「歯医者さん! もちろん女優も続けるけど、両方やりたい」と意外な答えが返ってきた。理由は「人を笑顔にできる仕事だから」だとニッコリほほ笑んだ。
「ハッシュパピー バスタブ島の少女」4月20日全国公開。
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