アグネス・チャン、児童兵士の現状に涙「ゼロになる日を夢見ている」
2013年3月9日 22:45

[映画.com ニュース] 第85回アカデミー賞で外国語映画賞にノミネートされた「魔女と呼ばれた少女」が3月9日、東京・シネマート新宿で封切られ、タレントで日本ユニセフ協会大使のアグネス・チャンが上映後にトークショーを行った。
紛争の絶えないコンゴ民主共和国を舞台に、児童兵士として生きる道を強いられた少女の逃避行を描く本作。アグネスは1998年の大使就任以来、アフリカ諸国を視察し、児童兵士の悲惨な現状を何度も目にしたといい「戦争に子どもを駆り出すことは、決して許されないこと。いつか児童兵士がゼロになる日を夢見ている」と涙を浮かべていた。
平和な村から拉致され、反政府軍の兵士としてゲリラ戦を生き延びた少女コモナは、「亡霊を見る能力が勝利を招く」と魔女として崇められるが、いずれ殺される運命を悟り、最愛の少年と逃避行に出る。メガホンをとるのは、カナダの新鋭キム・グエン監督。現地のストリートで見出された主演女優ラシェル・ムワンザが、第62回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(女優賞)を受賞しており、アグネスも「彼女の自然な演技に感動した」と語っていた。
99年に南スーダンを訪問したアグネスは、帯同した現地通訳が元児童兵士だったと振り返り「彼は、他の子どもたちと一緒に地雷をばらす(撤去する)仕事をさせられたそう。毎日、子どもたちが地雷で死んでいき、大の親友も亡くしたと言っていた」と明かす。
また、8歳で反政府軍に志願した少年は、アグネスが抱きしめようとした際に「思わず私の体を避けたんです。兵士として育てられたから、他人のちょっとした動作にも反応してしまう」と今もショックがいえない様子。それでも「泣きながら、お母さんを探してほしいと訴えられたとき、初めて『この子も子どもなんだ』と思った」と涙し、「遠い国の出来事に思えるが、日本の皆さんにも決して忘れてほしくない。意識を高めれば、救える命も増えるはず」と訴えた。
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