村上隆の初メガホン「めめめのくらげ」は3部作、さらに“10年計画”も
2013年2月15日 20:00
[映画.com ニュース] 国際的な知名度を誇る現代アーティストの村上隆が2月15日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで、初メガホンをとったSFファンタジー「めめめのくらげ」のフッテージ映像上映を行い、「映画という媒介を通して、これまでつちかった表現のエッセンスを世に問いたい。力んでやっていますし、2年間注力した僕なりの自信作」とアピール。すでに続編「めめめのくらげ2」の製作も進行中で、「パート3まで作りきり、TVシリーズやマルチメディア展開も考えている。向こう10年は続けていくつもり」と展望を明かした。
震災後の日本を舞台に、大人には見えない謎の生物“ふれんど”と子どもたちの交流と冒険を描く。この日は約10分の映像が解禁され、震災で父を失った主人公の少年・正志(末岡拓人)とクラゲに似た不思議な生き物“くらげ坊”との出会いをはじめ、転校先で生徒たちが自身の“ふれんど”を操り、バトルを繰り広げるシーンなどが公開された。村上らしいキュートなデザインが目を引く“ふれんど”は、実写映像に自然と溶け込むハイレベルなCGで表現され、声や動きにも愛らしさが感じられる。
村上によれば、“ふれんど”は「子どもたちの負のエネルギーに共鳴した生物。(震災後)新しいエネルギーを作り出す過程で生まれた設定」だといい、「現代人にとってのコミュニケーションの媒介者でもある」。純粋な子どもたちとは対照的に、未知のエネルギー研究施設や謎の黒マント集団、新興宗教団体といった大人たちも暗躍し「震災を機に、あらわになった戦後日本のゆがみを追及したかった。復興はもちろん、文化の衝突と融合もテーマのひとつ」と物語の背景を説明した。
現時点で「めめめのくらげ」の上映時間は100分を予定しており、CGカットだけで「当初900強だったが、すでに1000カットを超えた」(村上)。現場は試行錯誤の連続だったといい「フィクションの世界に引っ張られ、現実に帰れなくなる感覚を覚えた」と振り返る。本作完成後は、「めめめのくらげ2」の再撮とポストプロダクションに入り、2014年の完成と公開を目指す予定だ。
主人公・正志を見守るヒロイン・咲を演じるのは浅見姫香(「きいろいゾウ」)。また、子どもたちの前に現れる正体不明の男たちを窪田正孝、染谷将太、正志が慕う叔父で研究員を斎藤工が演じ、鶴田真由、津田寛治らベテラン勢が脇を固める。主題歌を人気のバーチャルアイドル・初音ミクが歌っている。
「めめめのくらげ」は、4月26日から全国で公開。