「ザ・フューチャー」公開記念 山崎まどか×野中モモがミランダ・ジュライの魅力語る
2013年1月8日 14:00
[映画.com ニュース] コンテンポラリーアーティストとして知られるミランダ・ジュライが、監督・脚本・主演を務めた新作「ザ・フューチャー」公開記念ガールトークショーが1月7日、都内の書店で開催され、コラムニストの山崎まどか氏と文筆家、翻訳家として活躍する野中モモ氏が作品について語った。
現代美術、小説、音楽など多方面で活躍するジュライは、2005年に発表した初の長編作品「君とボクの虹色の世界」で、サンダンス映画祭審査員特別賞、カンヌ映画祭で新人監督賞を受賞。最新作は、ジュライ演じるダンス講師のソフィーが、同棲中の恋人とけがをした迷い猫のパウパウを引き取ることを決意。ともに35歳の二人はパウパウが自宅にやってくるまでの30日間で、お互いやりたいことをやろうと、自分の内なる声に耳を傾けて生きようと決意する様を描いた。
「楽しく、ハートウォーミングですとは言い切れないですが、何かえぐられるような映画。35歳の二人がもう若くないと気付く話で、何かを投げかけてくる」(野中)、「『お前どうなんだ』と訴えてくるよう。ミランダ・ジュライの世界に直結して作っていて、そこがよかった。語り手が猫で、その声も彼女がやっていてミランダ節全開。好き嫌いが分かれると思うけれど、どこかひっかかると思う」(山崎)と感想を述べる。
アメリカのアートシーンに造けいが深い野中氏は、90年代に映像作品を発表していたポートランドでのジュライの活動を紹介。現在もジュライは映画祭などで撮影した動画を積極的に公開したり、本作では主人公が創作ダンスをYouTubeにアップロードしようとするというエピソードもあり、「(インターネットをはじめとした)技術を利用するところが面白い。今使える物を使うのが上手」と分析する。前作「君とボクの虹色の世界」でジュライのファンになったという山崎氏は、小説や横浜トリエンナーレに出品された作品と比較しながら「映画として隙があって完成しないところが魅力。映画・書籍・アートの境目がなく、(作品を見た)自分が何かしないと完成しないような気がする」。二人はジュライの作品の魅力をそれぞれの視点から語り、昨今の女性アーティストの特徴についてもトークを展開した。
「ザ・フューチャー」は1月19日、渋谷シアター・イメージフォーラムで公開。
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