杉野希妃、震災を経て露呈した問題と正面から向き合った最新作
2012年12月21日 13:57

[映画.com ニュース]第17回釜山国際映画祭でワールドプレミアされ、喝采を浴びた内田伸輝監督作「おだやかな日常」。2011年3月11日に発生した東日本大震災後の東京に焦点を当て、現実を生き抜くためさまざまな選択を迫られる女性を描いた。主演した杉野希妃は、女優としてスクリーンを飾っただけではなく、プロデューサーとしても作品づくりに大きな役割を担った。杉野は、どのような思いで今作と向き合ったのだろうか。
突如、日本を襲った東日本大震災によって、福島原子力発電所は未曽有(みぞう)の被害を受けた。政府が直ちに「放射能の影響はない」と発表する一方で、インターネットではさまざまな情報が錯綜。福島から離れた東京で暮らす主婦サエコとユカコは、震災以前の生活に戻っていく人々とは対照的に、放射能被害の不安にかられていく。

杉野は、11年に開催された第41ロッテルダム国際映画祭で内田監督と出会った。大震災発生後の6月、内田監督から今作の企画を持ちかけられ、東京をとらえた監督の視点に魅力を感じた。「震災後、福島や仙台でドキュメンタリーを撮る方が増えました。映画監督が『記録したい』という気持ちになるのは理解できるけれど、私は『原発事故が起こった福島から微妙な距離にある東京で、人がどのような行動をとるのか』という監督の視点にすごく共感できたんです。東京は危ないのか危なくないのかわからない瀬戸際にあって、多種多様な人間が混在するなかでどういう選択をしていくのかを迫られる場所だと思うんです。福島ではなく、私と監督が今生きているここで撮らなければ、次に進めないような気持ちになっていました」とスタート地点を振り返る。
今作は震災後の東京を題材にしているが、原発の存在の是非を問う作品というよりも、大人のいじめや家庭の不和など、震災を機に浮き彫りになった日常に潜む問題を扱った人間ドラマだ。深刻な事態に直面することで、人々のなかに内在する問題が露呈し、多くの選択を迫られる。杉野は「さまざまな選択をする人がいるなかで、自分は他者の選択を受け入れることができるのか」ということを訴えかける。「震災後、西に行く人を批判する人もいれば、留まる人になぜ危機感を持たないんだと言う人もいました。でも、事情があるなかで選択を迫られているのであって、他者がその選択にどうこう言えるものではないと思うんです。人は防衛本能から、自分とは違う選択や価値観を持つ人を批判しがちですが、多様な価値観を認めるべきなのではないかという思いが、震災後に自分のなかで大きく膨らんでいって、どうしても取り上げたかった」と熱く語る。
「おだやかな日常」は、12月22日から全国で公開。
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