行定勲監督、最新作「つやのよる」は韓国の鬼才ホン・サンスを参考
2012年12月16日 21:30
[映画.com ニュース] 「GO(2001)」「世界の中心で、愛をさけぶ」の行定勲監督が12月16日、東京・シネマート新宿で開催中の特集上映「ホン・サンス 恋愛についての4つの考察」でトークショーを行った。
“韓国のゴダール”“ロメールの子弟”と評され、ヨーロッパで絶大な人気を集めるホン・サンス監督の代表作「よく知りもしないくせに」「ハハハ」「教授とわたし、そして映画」「次の朝は他人」の4本を、一挙上映する特集企画。
ホン・サンス監督の大ファンを公言する行定監督は、「初めて見たのは『豚が井戸に落ちた日』。その後見たモノクロの『秘花 スジョンの愛』もめちゃくちゃ良くて、何で日本に来ないんだろうなとずっと思っていた。日本がホン・サンスの映画を全国300館でやれる国になったら素晴らしいけど、どんどん広まっていくことが悲しくもある」と思い入れもひとしお。そして、「芸術性も高いし考え抜かれているけど、作風がどんどんゆるくなっている。ほとんどの主人公が映画が撮れない映画監督で身につまされるし、登場人物がすぐわかる嘘をつくところがものすごく良い!」とうなっていた。
さらに、「ホン・サンスの映画を見ると考え方が変わる。配給会社から依頼されたことに応えるのがバカバカしくなる事件があって、そんな時に見ると癒された(笑)。登場人物は嘘をつくけど、発想の“そのもの”を撮っているすごく正直な映画。世界を救うような映画ではないけど僕は救済される」と尊敬の念。また、「彼は観客の憶測を嫌がるので、そういったものを掘り起こすシネフィルに対して牽制しているとしか思えない表現をする。面白ければいいじゃんという、まさに理想の形」とも。一方で、「不可解なのはズーム。木村大作が見たら怒ると思う(笑)。だけどそのインチキなところにひかれるし、不可解であるというのは映画においてやっぱり重要なこと」と深く共鳴していた。
行定監督は、直木賞作家・井上荒野氏の小説を映画化した最新作「つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語」の公開が控えており、「シナリオを読んだ助監督たちが深刻にとらえすぎているので、そうではない男と女のバカバカしさを伝えようと、ホン・サンスのDVDを貸したらみんなハマっていた。だから『つやのよる』を見て、『ホン・サンスに影響されてるんだろ』って言ってくれていい」と胸を張った。
「ホン・サンス 恋愛についての4つの考察」は、東京・シネマート新宿で12月21日まで上映される。
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