ロジャー・コーマンら、満場一致でサクラグランプリを決定
2012年10月28日 22:35

[映画.com ニュース] 第25回東京国際映画祭が10月28日、9日間の日程をすべて終了し閉幕した。授賞式終了後、東京・六本木アカデミーヒルズで総評会見が行われ、審査委員長のロジャー・コーマンをはじめ、滝田洋二郎監督らコンペティション部門の審査員が審査を振り返った。
イスラエルとパレスチナの問題を背景に家族の絆(きずな)を描いたフランス映画「もうひとりの息子」が最高賞となる東京サクラグランプリを受賞。コーマンは、「かなりの数の国際映画祭をこなしてきたけれど、これだけフレンドリーな環境のもとでスムーズに審査が行えた映画祭は珍しい。それぞれの作品が文化、政治的な価値観の違い、宗教の違い、信じていることの違いなどを表現していたが、満場一致で審査が決まった」と総評。また、「イスラエルに行くたび、いまだずっと小さな土地に対しての戦いが続いていることに驚く。この映画は両国を平等なバランスで見ている作品で、繊細な問題を扱いながら人間は平等であるということをシンプルにしっかりと観客に伝えた」とグランプリ作品を称えた。
滝田監督は、「“ビッグ・ファーザー”のコーマンさんを中心に正直な議論を繰り返し、コーマンファミリーになった気がする。最高の出会いに感謝」と笑顔で挨拶。そして、「みんなの意見がパーフェクトに一緒だったわけでなく、たくさんの意見があった中でグランプリが決まった。韓国の『未熟な犯罪者』(審査員特別賞)やトルコの『天と地の間のどこか』(最優秀女優賞:ネスリハン・アタギュル)なども素晴らしかった」と他作品へも言及し、充実した議論が行われたことを強調した。
会見には各賞受賞者も出席し、グランプリと監督賞の2冠を果たしたロレーヌ・レビ監督は、受賞の理由を「私が映画を通じて見せたかったことを審査委員と分かち合うことができたからだと思う。それを観客とも分かち合いたい」と語り、女性監督としても「監督を始めたときは男女差があるとは思っていなかったけれど、あるのは事実。全女性は勇気をもって前進するしかない。自分の道を歩むことはできる」と熱弁。また、昨年のグランプリ作品「最強のふたり」が日本国内でも大ヒット中だが、「同じような成功はできないと思うけど、それぞれの映画にそれぞれ道がある」と力強く語った。
同映画祭常連である松江哲明監督の「フラッシュバックメモリーズ 3D」は観客賞を受賞し、「インディペンデント映画の面白さが認知され、作家を応援しつつ外へ広がるよう、役者やスタッフが交流して刺激しあえる場がもっと増えれば映画が生まれやすくなると思う」と今後の映画祭の展開に期待を込めた。また、「日本映画・ある視点部門」で作品賞を受賞した「タリウム少女の毒殺日記」(上映時のタイトル「GFP BUNNY タリウム少女のプログラム」から変更)の土屋豊監督は、「メジャーとインディペンデントの二極化が激しくなっている。メジャーでできないことをインディペンデントでやるとしても、なんでメジャーはラディカルなことができないんだろうと一緒に考えていきたい」と訴えかけた。
なお、本映画祭の上映本数は112本(総上映回数は278回)、劇場動員数は3万9786人となった。
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