北野武、三池崇史の大ファン「ザ・レイド」監督が語る
2012年10月26日 13:10
[映画.com ニュース]麻薬王が支配する高層マンションを舞台に、SWAT部隊と犯罪者たちとのノンストップの激闘を描き、続編の製作はもちろん、すでにハリウッドリメイクも決定しているという「ザ・レイド」を撮り上げた32歳の俊英、ギャレス・エバンス監督に話を聞いた。
「とにかくフラストレーションがたまってエネルギーがあふれていたから、シンプルで思い切ったものを作ってみようと思ったんだ」と振り返る。「ザ・レイド」の続編として製作が決まった「Berandal(原題)」が元々は先行していた作品で、「構想はできていたのに資金が集まらず、1年半待ちぼうけを食らっていた」。その憂さ晴らしとして「ザ・レイド」を製作したというのだ。
同作は上映時間102分のうち、実に85分間で銃撃、剣術、格闘の壮絶なアクションが繰り広げられる。「確かに、ドラマとアクションの緩急がある普通のアクション映画の作りからすると変わっているよね。でも、最初に首根っこをつかんだらそのまま最後までグイグイ引っ張っていく、そんな映画を作ろうと思ったんだ」と認める。
「インドネシアのマーシャルアーツ映画なんて、まずないでしょ? それが一番の売り(笑)。バイオレンスがある映画だけど、陰惨にしたつもりはない。最初にノリさえすれば、見ているみんなで一緒に興奮してヒヤヒヤして、ホッと安心したら笑いが漏れる。色んな映画祭で観客の反応を見てきたけど、ほんと、週末の夜に友だちと見て騒ぐ、ジェットコースターみたいな映画なんだ」
英国出身であるのにもかかわらず、なぜ東南アジアで格闘アクションの映画を撮ろうと思ったのだろうか。「ブルース・リー、ジャッキー・チェン、サモ・ハン・キンポー、ユエン・ウーピンらが格闘を映画で見せるということの先駆者だよ。彼らを超えるものはまだ現れていない」とアジアのアクションへ最大級のリスペクトを抱く。「レンタルショップがマーケットで出している露天で、VHSを買い漁って見ていた」と明かす。また、三池崇史監督の「殺し屋1」の英語字幕入り全長版映像を求め、香港版、日本版、オランダ版、アメリカ版とDVDを買い増してきたほどの日本映画好きでもある(北野武、岩井俊二、北村龍平、塚本晋也ほか、監督名が次々と挙がる)。
「日本の映画にもたくさん影響を受けてきた僕が、こうして日本に『ザ・レイド』を持ってこられて本当にうれしい」
「ザ・レイド」は10月27日より全国公開。