渡辺謙、人間の“業”を描く!壮大なセットで「許されざる者」撮影快調
2012年10月25日 05:00
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[映画.com ニュース] 渡辺謙主演で、クリント・イーストウッド監督・主演作「許されざる者(1992)」を日本映画としてリメイクする「許されざる者」(李相日監督)の撮影現場が、このほど報道陣に公開された。野球場ひとつ分相当の敷地面積を誇る広大なオープンセットがあるのは、北海道上川郡上川町。大雪山を背景に寂れた宿場町が再現され、渡辺をはじめ共演の佐藤浩市、忽那汐里らが全身全霊をかけて撮影に臨んでいた。
ロケが行われている上川町は、北海道のほぼ中央に広がる大雪山国立公園の北方部に位置し、ヒグマの生息地としても知られている。オープンセットは酒場、民家、警察署から町外れにある人口の池にいたるまでを、7月1日から約3カ月間かけて制作。また、冬眠前で最も活動的な時期を迎えたヒグマ対策として、セットの周囲には電気柵が設置され、キャストやスタッフは待機部屋での食事が義務付けられるなど、厳戒態勢で撮影は敢行されている。
第65回アカデミー賞で最優秀作品賞、最優秀監督賞ほか4部門に栄冠をもたらした名作西部劇が、オリジナルと同じ年の1880年、江戸幕府崩壊後の北海道を舞台に時代劇として描かれる意欲作。渡辺は、イーストウッドが演じた主人公ウィリアム・マニーと同じ設定の役で、江戸幕府側の残党で幾多の志士たちを斬りまくった釜田十兵衛を演じる。
オープンセットで撮影されていたのは、新政府の追跡をかわしきった十兵衛の10数年後の姿。貧困ゆえに再び賞金稼ぎとして戦いに身を投じなければならなくなった十兵衛が、賞金首を追う過程で立ち寄った上川町の酒場兼女郎屋で、恐怖で町を統治する警察署長・大石一蔵(佐藤)と対峙するシーンだ。「おまえは根っからの人殺し野郎だ!」。佐藤扮する一蔵は、脂汗を浮かべる十兵衛の脇腹を容赦なく殴りつけ、崩れ落ちる顔にひざ蹴り、背部にも蹴りを入れる。「どうした、人斬り十兵衛!」。無抵抗の十兵衛を踏みつけ、さらに激しく殴りつける。
両目が腫れ上がり、血だらけの特殊メイクを施した状態で取材に応じた渡辺は、NHKドラマ「負けて、勝つ ~戦後を創った男・吉田茂~」で吉田茂を演じたころよりも体重を9キロ落とし、9月22日に北海道・阿寒湖でクランクイン。上川郡のオープンセットには10月1日から入ったそうで、「監督が『体力的にも肉体的にも、今まで見たことのない渡辺謙を見せたい』とおっしゃっていた。こういうことだったのかと、今日やっとわかった」と、ほがらかに笑う。そして、「表現する強さを抑えてほしいと言われたんです。ボルテージを上げない、感情が表に出ない、最後まで抑えていく。それはある意味、僕にとって手ごたえといえるのかもしれない」と真摯な口調で説明する。
偉大なオリジナルが眼前にそびえ立つが「いい意味で、オリジナルから解き放たれて飛び立ったような印象」と、どこまでも自然体だ。さらに、「こちらは李監督のもつ“業”を色濃く反映している。オリジナルよりも、キャラクターそれぞれが生きていく業の深さをさらけ出していくことになるかもしれませんね」と話した。
一方、渡辺と映画では初共演となる佐藤は、暴力描写について「先日も國村隼さんをボコボコにしちゃいましたし……。殴る方も精神的、肉体的にきついですよ」と本音を吐露。テストの段階から殴るポイントや強さを頻繁に確認する姿がうかがえ、渡辺も「全然大丈夫だよ」とうなずく。だからこそ全力で挑んでおり「50歳を過ぎて、こんなに激しいアクションは経験ないですから。謙ちゃんは『別に友情に変わりはないから』と言ってくれていますけどね」と静かに語った。
2人の熱波は、共演陣にも伝わっている。顔を無残に切り刻まれてしまう遊女・なつめ役の忽那は、「謙さんはとにかく現場にいらっしゃる方。自分が映らないところでも、常に私の目線にいてくださる。熱い方だとうかがっているので、これからのシーンが楽しみですね」と目を輝かせている。11月には根室でもロケをし、下旬にクランクアップ予定だ。
「許されざる者」は、2013年秋に全国で公開。
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