アカデミー賞日本代表「かぞくのくに」、韓国での公開が決定
2012年9月15日 13:52
[映画.com ニュース] ヤン・ヨンヒ監督の最新作「かぞくのくに」が、第85回アカデミー賞外国語映画賞の日本代表作品に選ばれたことを記念し9月15日、東京・テアトル新宿でヨンヒ監督をはじめ、劇中で兄妹を演じた井浦新と安藤サクラ、共演する村上淳と省吾(ポカスカジャン)が舞台挨拶に立った。
今回の吉報に、ヨンヒ監督は「本当にビックリしていて、今も驚き中。ただ、周りの友人はもう私が授賞式の会場に行くものだと勘違いしていて、デザイナーの友人は『当日の衣装を作るから、仮縫いに来て』って言っている」と周囲の反応に戸惑いも。実際には各国から代表選出された数10作から、本ノミネートの5作品が選ばれるため「今は宝くじを握りしめ、(ノミネート作が発表される)来年1月までしばし夢を見ている状態」と心境を明かした。
もし本作のノミネートが実現すれば、第81回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞した「おくりびと」(滝田洋二郎監督)以来の快挙となる。井浦は「インディペンデントの作品が、王道中の王道であるアカデミー賞の日本代表になると聞いて、時代が変わり始めているのかなと思う。監督はすごいことをしでかしてくれた」と静かに喜びを表していた。
「ディア・ピョンヤン」「愛しきソナ」で高い評価を得たヨンヒ監督が実体験をもとに、オリジナル脚本を書き上げたキャリア初のフィクション作品。病気療養のため25年ぶりに日本に帰ってきた兄ソンホ(井浦)が、日本に暮らす妹のリエ(安藤)や家族、友人らにもたらす静かな“波紋”を描く。すでに第62回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に出品され、国際アートシアター連盟賞を受賞している。
来月には第17回釜山国際映画祭でも上映される予定で、「韓国の人たちがこの映画をどう見るのか、緊張しますが楽しみ」(安藤)。また、来年韓国で公開されることも決定し、ヨンヒ監督は「時期や規模はまだ決まっていないが、こうして作品が私たちを引っ張ってくれる感覚は不思議」と感慨深げ。欧米からの注目も高まりつつあり「ヨーロッパの新聞から取材の依頼をたくさんいただいている。今後もひたすらしゃべり続けたい」とさらなるPRに意欲を燃やしていた。