映画監督デビューの小橋賢児、俳優復帰に強い意欲
2012年9月8日 13:25
[映画.com ニュース] 俳優の小橋賢児の初監督作品となるドキュメンタリー映画「DON'T STOP!」の公開前夜祭イベントが9月7日、東京・豊洲のアウトドア施設「WILD MAGIC」で行われ、小橋をはじめ映画に出演する作家の高橋歩、CAP、主題歌を歌うGAKU-MC、挿入歌を手がけたKentaroowらが出席した。
交通事故で下半身と左腕の自由を失い、20年近く自室で過ごしてきた男“CAP”が、旅をしながら作家など様々な活動を行う高橋に出会ったことをきっかけに、ずっと夢見てきたアメリカのルート66の走破を決意。彼らがキャンピングカーで4200キロを駆け抜ける姿を同行した小橋監督が自らカメラを担いで撮影した。
小橋は8歳から芸能界で活躍してきたが、2007年に俳優業を休業。その後、アメリカをはじめ世界各国をめぐるなどしてきたが、2年ほど前に知り合った高橋から旅について耳にし、映画にすることを思いついたという。「映画を撮ろうとか監督になりたいとか思っていたわけではないんです。旅の構想を聞いたときに脳みそがスパークして(笑)、その場で『撮らせてください』と言いました。若い頃は芸能界の状況や忙しさを理由に、実際にやりたいことをやらずに殻を閉じていたけど、今回は直感で『やるべき』と思いました。そうやって言い訳していた自分と20年間夢をあきらめていたCAPの姿が重なりました」と明かす。
高橋はそんな小橋について「これまで映画を作ったこともないのによく言ったよね(笑)。酒の席のノリだけで『やろう』って言う奴はいっぱいいるけど、賢ちゃんからはキラキラしたオーラが刺さってきて本気で言ってるのが分かった。撮影でも賢ちゃんだけ寝るところがなくて寝袋で寝たり、泥だらけになってもやめない姿に感じるものがあった」とその姿勢を絶賛する。
司会を務めた映画コメンテーターのLiLiCoは「旅をする前とした後でCAPの顔が全然違っていた」と旅を通しての変化を語った。間近で見ていた小橋も「変化をまざまざと感じました」と同意したが、この日のゲストで俳優時代の小橋を知る元音楽プロデューサーの四角大輔は「小橋くんの顔も俳優時代とはまた全然違うね」と休業を経て新たな道を歩み始めた小橋もまた成長を遂げていると指摘した。
改めて旅の日々を振り返り小橋は「デコボコの仲間たちの10日間、4200キロは奇跡の連続でした。最悪のトラブルも、それがなかったら出会えなかった人がいて、そのタイミングでなかったら見えない景色があり、人生の縮図でした」と感慨深げ。また俳優として日本の映画やドラマに復帰する可能性を問われると「タイミングが合えばやりたい。いろんなインプットができたので、これから役者としてやれれば面白いかなと思う」と意欲を語った。
ちなみに、CAPがルート66横断を夢見るきっかけとなったのは映画「イージー☆ライダー」。CAPという通称も映画の中でピーター・フォンダが演じた“CAPTAIN AMERICA”から来ているが、この日はサプライズとして実際に同作でフォンダが使用したハーレー・ダヴィッドソンが登場した。この粋な計らいにCAPは思わず号泣。憧れのフォンダ使用のハーレーのアクセルをふかし「生きることが仕事。だから頑張って生きている。生きていたら絶対にいいことがある!」と涙ながらに言葉を絞り出した。