小泉今日子VS荻野目慶子「つやのよる」でワインかけあう壮絶な修羅場
2012年7月13日 07:00
[映画.com ニュース] 女優の小泉今日子と荻野目慶子が、阿部寛の主演最新作「つやのよる」でワインをかけあい、取っ組み合う壮絶なシーンに挑んでいたことがわかった。6月上旬に都内で撮影が行われ、互いに一歩も譲らぬ迫真の演技にメガホンをとる行定勲監督も満足げ。カットがかかった瞬間、約150人のエキストラ、取材に入っていた報道陣からは一斉に拍手が沸き起こった。
小泉が演じるのは小説家・石田行彦の妻の環希で、荻野目は行彦と不倫関係にある教育評論家・伝馬愛子に扮する。ふたりは、行彦の執筆した小説「つややかな獣」の受賞パーティーで初対面。最初から不穏な空気が周囲に蔓延し、夫のネクタイの趣味を酷評された環希が“反撃”を仕掛けてから様相が一変する。
「しょっちゅう犯されているのよ!」。金切り声をあげる愛子は、躊躇(ちゅうちょ)することなく赤ワインを環希の顔面にかける。環希も負けておらず、愛子の顔に赤ワインを命中させた後は取っ組み合いの大ゲンカ。一度は周囲の人々に引き離されるが、態勢を整えた環希が再び愛子に向かっていくなど、にらみ合う両者の眼差(まなざ)しから、このシーンにかける意気込みがうかがえた。
小泉は、「脚本を読んでワクワクしました。行定監督はアンサンブルという表現をしていましたが、まさに大人のアンサンブル! こういう作品って日本にはあまりないような気がします。そして力強いキャスティング。これが面白くないわけありません」と話す。さらに、荻野目との修羅場シーンについては「楽しかった。実人生では経験したことのない、女同士の取っ組み合いというのを荻野目慶子さんと3回戦! 次の日、激しい筋肉痛になるほどの戦いでした(笑)」と述懐した。
ふたりの壮絶なシーンを、モニター前で見つめた行定監督は「『いけー!』と思っていました」とニヤリ。そして、「映画の歴史をたどっても、このふたりを戦わせたら面白いなと思ったんです」とキャスティング秘話を明かす。
今作は、東日本大震災の発生により撮影が一時延期になった経緯がある。それでも、行定監督は「これは他の人にやられたくなかったんです。これまで群像劇をずっと撮ってきたつもりですが、今までにない群像劇のスタイルが作れるんじゃないか。僕にとっての野心作になると感じました。あえて今の日本映画界の現状にくさびを打ち込みたかったんです」と強い思い入れを説明する。
長編映画のメガホンをとるのは、実に3年ぶり。それだけに「1カット、1カット、撮っていて幸せ。僕は映画監督。映画を撮らないと始まらない。映画を撮ることは楽しい。13年目にして、初めて気がつきました」と充実した表情をにじませる。今作では初めてデジタルでの撮影にも挑戦。「フィルムと違って高くつかないから、何テイクでも撮ってやろうと思う」と不敵な笑みを浮かべていた。
クランクアップ間近の「つやのよる」は、2013年新春に全国で公開。
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