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山田洋次監督「落語が本業だと思ってます」 柳家花緑が“新作落語”をオファー

2012年7月1日 18:30

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山田洋次監督(右)と柳家花緑
山田洋次監督(右)と柳家花緑

[映画.com ニュース] 山田洋次監督が7月1日、東京・東銀座の東劇で「シネマ落語 落語研究会 昭和の名人 四」の公開を記念した特別対談を落語家の柳家花緑とともに行った。東京・国立劇場小劇場で毎月開催されているTBS「落語研究会」の映像を映画館のスクリーンで上映する「シネマ落語」第4作。昭和の落語黄金期を支え噺家初の人間国宝となった五代目柳家小さんの「試し酒」をはじめ、六代目笑福亭松鶴による「高津の富」、五代目桂文枝の「猿後家」、六代目三遊亭圓生の「猫忠」の4本がスクリーンでよみがえる。

生前の小さんさんに「真二つ」「頓馬の使者」「目玉」という3本の新作落語を提供した山田監督は「1971年頃だったか、新作を作ってほしいと言われて『落語作家になる』という長年の夢が果たせた。僕は小さい頃から落語少年でしたから、夢かと思うほどうれしかったですよ」と述懐。「いぶし銀の魅力がある落語家さん。まるで徳の高いお坊さんと語り合っているような、上品さがある方だった」と人柄を語り、「主人公が真っ二つになるというオチは、小さんさんが考えたもの。こんなシュールなことを考える方なんだと驚いた」と「目玉」にまつわる裏話を披露した。

小さんさんの実の孫で、最後の弟子でもある花緑は「新作を書いていただきたいなあ。特に監督が書く現代ものに興味がある」と山田監督に新作落語をオファー。山田監督からは「僕は落語が本業だと思ってますから。それに『真二つ』なんかは、書き直したい箇所もありますから」と前向きな発言も飛び出した。

昭和の“名演”を劇場で上映する試みについては「中高年の方が見る映画が減っているから、いいと思いますね。それに笑って劇場を出られる映画が、世界的にも減っている。世の中、重苦しい空気でお客さんは笑いたいはずなのに……。一方、テレビは安っぽい笑いを提供するしか知恵がない。だから寄席の人気が高まっているのは、よくわかるなあ」(山田監督)。花緑は「新しい時代に突入したなと思う。名演を楽しめるのはいいが、そのせいで生きてる落語家がどう評価されるのか……。厳しい時代になりますね(笑)」と戦々恐々の様子だった。

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