樹木希林、息子・本木雅弘と初の舞台挨拶に「頭が上がらない」
2012年5月13日 16:49
[映画.com ニュース] 文豪・井上靖の自伝的小説を役所広司主演で映画化した「わが母の記」の“母の日舞台挨拶”が5月13日、東京の新宿ピカデリーで行われ、樹木希林と原田眞人監督が登壇した。サプライズで義理の息子で俳優の本木雅弘が花束贈呈に登場すると、樹木は「どうしちゃったの? こういう場所に出てくることないのに……。何とお礼を言ったらいいかわからない。夫の面倒も見てもらっているので頭が上がらない」と顔をほころばせた。
樹木と本木が映画の舞台挨拶にそろって登場するのは、今回が初めてのこと。本木は「もう17年も親子関係にあるけど、いまだに緊張に満ち満ちた婿生活を送っている。役者としても人生としても大大先輩で、いつもさりげない深い助言をいただいている。これからも周りを豊かな人生へと導いてくれるのではないかと思う。体に養生して長生きしてください」と日頃の感謝の気持ちを表した。
樹木は、「娘は同日公開のローマ風(「テルマエ・ロマエ」)の方を見たいと言っていた。人生が大変だから何も考えたくないと。でもこちらも健闘しているということで感無量でございます」と皮肉交じりに挨拶。およそ1100本のカーネーションを使った樹木の似顔絵フラワーアートが登場すると、「もったいない。私には母性というものがさっぱりないので、『わがママの記』という感じ」と絶妙な言い回しで観客をうねらせた。
念願の企画を実らせた原田監督は「50過ぎて、井上先生のことを語らないといけないなと思っていて、そういう昭和の世界を小津(安二郎)映画、黒沢(明)映画のように映像にまとめたかった。ローマ風呂みたいな映画ももちろん必要だけど、考えれば考えるほど面白くなる映画が世界中で肩のせまい思いをしてる。ぜひこれからも応援してください」と語りかけた。
“母親に捨てられた”という心の傷を抱えた小説家の洪作(役所)が、母・八重(樹木)の認知症をきっかけに家族の絆(きずな)を取り戻していく姿を10年間に渡り描く。共演に宮崎あおい、南果歩、ミムラほか。第35回モントリオール世界映画祭ワールド・コンペティション部門で、審査員特別グランプリを受賞した。