井浦新、主演作のカンヌ選出で伝えたい若松監督の功績
2012年4月21日 07:00

[映画.com ニュース] 若松孝二監督の最新作「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」が、第65回カンヌ映画祭ある視点部門に正式出品される。主演を務めた井浦新は発表から一夜明けた4月20日、映画.comに喜びの声を語った。
今回のカンヌ映画祭の公式部門で“純然たる”日本映画がノミネートされたのは、今作だけだった。主人公の三島由紀夫を演じた井浦は、「詳細はまったく知らなかったので、うれしかったですねえ。胸を張ってカンヌに行けますよね。若松監督、さすがです」と清々しい表情を浮かべる。
若松組への参加は、今作以外にも「キャタピラー」「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」など経験豊富なだけに、インディペンデントという立ち位置で映画製作を続ける意義に思いをはせる。「監督は、日本映画界でやりたいことを貫き続けてきた方。製作はもちろん、宣伝だって監督自らやっているようなもの。日本の皆さんには、若松作品を世界が受け止めてくれているという状況を見過ごしてほしくないです」。
井浦の若松監督への思いは、とめどなくあふれ出てくる。“カンヌが認めた若松作品”という事実を手放しで喜びながらも「もっと大切なのは、若松監督が興味のある題材を好きなスタッフ、役者とともに、思いを100%詰め込んだ映画をこの日本で撮ってきたということ。この事実が、日本のファンの皆さんに届いてほしい。また、情報を流していく側の人たちにも受け止めてほしいんです」と問題提起を忘れない。
1970年11月25日、自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹自決へいたるまでの、三島と「楯の会」に所属する若者たちの物語を映画化した今作。学生運動全盛期の68年、三島は文筆業の傍らで民族派の学生たちと結成した「楯の会」に心血を注ぎ、有事の際に備えて訓練を積んでいたが、警察権力の前に自衛隊の出動機会はなくいら立ちを募らせていく。
世界中の映画人が集うカンヌで、今作で描かれる三島がどう受け止められるのかにも強い関心を示す。「海外の人たちにとって、作家としての三島由紀夫という認知度が高いと思うんです。日本では作家として以外にも、いろいろな顔があることが知られていたから、一体何者なのかが分からなくなっちゃう部分もあったのでは」。だからこそ、本当の姿を知ってもらいたいという思いが井浦を突き動かす。「三島の作家性による『美』からファンになった海外の人たちが見たとき、衝撃を受けると思います。『美』からかけ離れた『生々しさ』があるから。ああいう生きがあったればこそ、あんなにも美しい作品が生まれたんだということを知ってもらいたいですね」。
また、ある視点部門の審査委員長を務める、英俳優で監督のティム・ロスとの対面を心待ちにしているといい「同じ映画監督として、若松監督の作品をどうとらえてくれるのか。また、同じ役者として、自分の芝居が彼にどう映ったのかを聞くのも楽しみですね」。第65回カンヌ映画祭は、5月16日(現地時間)に開幕する。
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