キム・ギドク監督「アリラン」、カンヌで熱唱の幻のエンディングを入手!
2012年3月2日 21:33
[映画.com ニュース] 韓国の鬼才キム・ギドク監督が、3年にわたる山中での隠遁生活で、映画作家としての己に向き合う姿を映しだし、第64回カンヌ映画祭ある視点部門最優秀作品を受賞したセルフ・ドキュメンタリー「アリラン」。日本劇場公開にあたり、キム・ギドクがカットした幻のエンディングシーンを映画.comが独占入手した。
2008年「悲夢」の撮影で、女優が命を落としかける事故が発生。事の重大さに深く心を痛めたキム・ギドクはその後映画界から姿を消し、山にひとり引きこもる。寝食の場である粗末な小屋に持ち込んだカメラで日常生活を映し、また自身がカメラに向かい、弟子の裏切り、国内外での作品への評価の違いなど、これまでに経験した出来事や自身の半生を客観的に見つめながら、映画への強い思いを吐露する。
劇中でキム・ギドクが涙ながらに歌うのが、本作のタイトルでもある朝鮮民謡「アリラン」だ。カットされた本編最後のシーンでは、キム・ギドクがカンヌ映画祭授賞式で、特別な思いが込められたこの歌を壇上で朗々と歌い上げ、拍手喝さいを浴びる。劇中での苦悩に満ちた表情から一転、沈黙を破り、見事に世界の舞台に立つ映画作家として復活した晴れやかな顔が印象的だ。
「アリラン」は、3月3日シアター・イメージフォーラムで公開。